会社の財務状況がいいかどうかを表す指標の1つに自己資本比率というものがあります。
ただし、この指標が中小企業にも当てはまるかどうかといえば、それは疑問です。
自己資本比率とは
自己資本(純資産)とは、会社が集めた資金のうちに、返済が不要なものをいいます。
つまり、自分のお金でまかなったのはいくらかを示した金額です。
自己資本には主に、初めに出資したお金(資本金)と今まで会社が貯めた利益(繰越利益剰余金)
が当てはまります。
また自己資本比率とは、会社の全財産のうちに、自己資本の占める割合をいい、財務状況を判断するための一つの指標で、
自己資本 ÷ 総資産 × 100(%)で計算します。
会社の貸借対照表の、資産100、負債80、自己資本20であれば、
20÷100×100=20%ということになります。
自己資本比率は、高ければ高いほど、財務が安定していることにはなっていますが、
この指標が中小企業にも当てはまるかどうかは、別問題です。
中小企業の財務戦略
大企業であればお金が必要になれば、出資をしたり社債を発行するなど、金融機関からお金を借りる以外にも、資金を調達する方法があります。
一方で、中小企業であればお金を調達する方法は、金融機関からお金を借りる意外には、ほぼありません。
そのため、業績が悪化したときには、金融機関からお金を借りることが難しくなるため、それに備えるために、借りることができるときに借りておくというのが、中小企業の財務戦略のセオリーとなるわけです。
お金を借りると、自己資本比率は低下する
ところが、お金を借りた場合には、資金繰りが安定する一方で、自己資本比率は悪くなります。
会社の貸借対照表の、資産100(うち現金20)、負債80、自己資本20であれば、
自己資本比率は20%。
その状態で、お金を20借りた場合には、
会社の貸借対照表は、資産120(うち現金40)、負債100、自己資本20となり、
自己資本比率は16.7%といった具合です。
自己資本比率だけで見ると、財務が悪化したしたことになりますが、
これは、本当に財務が悪化したことになるでしょうか。
借入金が増えてしまっているから、財務が悪化したととらえることもできるかもしれませんが、
その一方で、現金が増えている分、確実に資金繰りは安定します。
上の例でも、借入金が20増えていますが、現金も20増えています。
現金があれば、万が一の業績悪化にも備えることができます。
会社が倒産する原因は、借入金があることではなく、現金がなくなることです。
また、現金があることで、経営の自由度は大幅に増します。
そのため、自己資本比率を重視するよりも、現金の残高を重視するべきであります。
自己資本比率は、あくまで目安として考えましょう。
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