設備資金と運転資金の返済財源

借入金の返済は、すべて利益で返そうとすると、無理な利益計画が出来上がってしまいます。
借入金の返済方法について、まとめてみました。

借入金の種類

借入金の返済を考えるときに、まず自分がどのようなお金の借りかたをしているかどうか、調べてみましょう。借入金の条件は、金利だけではありません。

金利は融資条件の一つにすぎません

そこで今回注目したいのは、資金使途です。

資金使途は、基本的には設備資金と運転資金に分かれます。
そして、この資金使途がどちらであるかによって、借入金の返済方法が変わります。

設備資金での返済財源

設備資金での返済財源は、利益で返す必要があります。

例えば、モノを作って商品を販売するということを考えてみます。
その商品を作るために、1,000万円もの機械を買う必要があったとします。

その機械を買う基準は、その1,000万円の機械を買って、1,000万円以上の利益が出るかどうか考える必要があります。

もし、その1,000万円の機械を買っても、900万円しか利益が出ないのであれば、機械を買った分だけ損をしてしまいます。その設備投資は失敗ということになります。

1,000万円以上もの利益を生み出すのであれば、その設備投資は成功ということになります。

つまり、設備投資は設備の購入代金を上回る利益を回収できる必要があります。

資金使途が設備資金である場合には、将来その設備を導入することで得られるお金で返す必要があります。設備代金と同額である借入金の返済部分に、利息を足して銀行に返済し、余った利益が自分の儲かったお金ということになります。

運転資金の返済財源

運転資金の返済財源は、売上代金です。
基本的には、利益では返すことはできません。

運転資金とは、モノを販売する事業形態の場合、
モノを仕入れて、その商品が売れてお金に変わるまでのつなぎ資金です。

例えば、10,000円で仕入れた商品を、12,000円で売るということを考えてみましょう。
単純に1回成功すれば、2,000円の利益をえられることになります。
ところが10,000円が手元にないので、銀行から融資をしてもらうことにします。

その時に「どのようにお金を返してくれますか?」と問われます。

その際に、「利益で返します」とは言えません。
借りたお金10,000円を、儲かった2,000円では返せませんので。

では、どうするかというと
「売れた代金12,000円の中から返します。儲かった2,000円はもらいます」
となるはずです。

つまり、運転資金の返済財源は利益ではなく、売上代金となるわけです。

基本的には、運転資金はこのような流れになります。
ただし、このようなやり取りを商品を仕入れたり売れたりするたびにやっていては、手間が非常にかかります。

商品が売れたら、一度返済して、また借りるなんてことはないはずです。そのため、一度お金を貸したら、そのまま貸しっぱなしにするのが、本来の運転資金です。

厳密には、
売掛金 + 受取手形 + 棚卸資産 - 買掛金 - 支払手形
という形で計算します。

この運転資金を毎月返済する形で借りているようだったら、いずれ運転資金は足りなくなります。
その場合は無理に返済し続けようとせず、足りなくなったらまた借りればいいやのスタンスで大丈夫です。返すときは、事業をやめるときと考えればいいです。

運転資金の借り入れを、当座貸越や手形貸付など毎月の返済がないものに切り替えるのも、ひとつの手段です。