不動産売却時に税金を少なくなるか多くなるかは、取得費(その売却した不動産を買ったときの値段)がわかるかどうかによって、大きく違います。
不動産売却時の税金
不動産を売却した際には、売却代金に税金がかかるわけではありません。
売却代金から、取得費(買ったときの値段)と譲渡費用(売った時にかかった費用)を引いた残りの部分に税金がかかります。
譲渡費用とは、仲介手数料や測量費用などの売却時の経費です。
売却時の経費は、不動産の売却間際に支払うことが多いので、あまり把握できないということはまれでしょう。
取得費とは、その不動産を買ったときの値段です。
これを把握するのは大変です。
なぜならばその不動産を買ったときまでさかのぼる必要があるからです。
30年以上前にさかのぼることもざらにあります。
資料を探すことも大変ですが、過去の資料を基に買った値段を計算するのにも時間はかかります。
この不動産売却の税金の申告を税理士に依頼するのであれば、確定申告直前でなく、売却したときに早めにお願いしておきましょう。
わからなければ5%
不動産を買ったときの資料が何一つ出てこない場合もあるでしょう。
その場合の買った値段は、売却代金の5%として計算していいことになっています。
例えば不動産が3,000万円で売れたとすれば、その5%分150万円を買った値段としていいことにはなっています。とはいえ、ほぼ売却代金に税金がかかるようになってしまいます。
そのため「取得費」、当時買ったときの資料がものすごく大事になってきます。
自分は買ってはいない、親が買ってそれを相続してもらっただけ、という場合も注意です。
不動産を相続した際に、その取得費も引き継ぐことができます。
親が20年前に不動産を購入、4年前に亡くなったとします。
その不動産を相続後、売却したとします。
その時の取得費は親が買った値段になります。
また買った時期も20年前という扱いになり、税率も20%で計算できます。
その場合の取得費を把握するには、亡くなった親の不動産購入時の資料を探す必要があります。
建物の取得費の計算は古くなったことも加味する
不動産の買った値段がわかれば、単純にそれを引いていいかというと、土地についてはそれでいいのですが、建物についてはもう少し細かい計算が必要です。
なぜならば、建物は使っていると少しずつ劣化していきます。
その分を計算していく必要があります。
買った値段 - (買った値段 × 0.9 × 償却率 × 経過年数)
が、建物の取得費となります。
買った値段が1,000万円の木造の自宅(償却率は0.031)築年数20年の建物の取得費は、
1,000万円 - (1,000万円 × 0.9 × 0.031 × 20) = 442万円
となります。
それ以外にも
・事業に使っていれば、帳簿の残高が取得費
・上記の計算式で計算した取得費が、売れた値段の5%より少なければ、5%でもいい
一番気をつけたいのが、単純に売った値段<買った値段だったので、税金が0だから申告しない場合です。上記の建物の劣化分を加味していなくて、実際計算したら税金が出ることもありますので注意しましょう。
<この記事での考え>
不動産売却時の税金は、買ったときの値段が把握できるかできないかで、税金が大きく違います。
捨てたりせず、必ず先祖代々保管しておくとともに、税理士に依頼する場合でも早めに着手しておきましょう。
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