固定資産税精算金の取り扱い

固定資産税の精算は、不動産の売買における、売主の固定資産税に負担を軽減するために慣習的に行われることがあります。
ただしこの固定資産税精算金は税金ではないので、税金計算上では注意が必要です。

固定資産税精算金とは

固定資産税は、年に1回、1月1日時点での土地・建物の所有者に対してかかる税金です。
その時点で持っているかどうかは、関係なく納税をしなければならなくなります。

そのため、1月5日に土地・建物を売却して手放していたとしても、4~5月頃には固定資産税の通知書が届くのは所有者でなく、1月1日時点で持っていた買主となり、納税をしなくてはならなくなります。

ところで、不動産の売買をした際に、固定資産税の精算をすることがあります。

これは、不動産の売買がいつ行われたかにかかわらず、売主が固定資産税の1年分全額を納めなくてければならないため、買主の所有期間分は買主に負担してもらうために行う金銭のやり取りです。

例えば6月30日に売買が行われた場合には、
1年のうち買主と売主がそれぞれ半年ずつ所有することになりますが、
買主が固定資産税の全額を市区町村に納めなくてはならないため、
売主が買主に半年分の固定資産税相当分を負担してもらう、
このような、イメージです。

ところで、この固定資産税精算金は税という名前がついていますが、税金ではありません。
そもそも、固定資産税の精算は、義務ではありません。

固定資産税は買主の所有期間分も、売主が負担しなければいけないといった不平等感を解消するために、慣習的に行われているだけなので、あくまで売買代金の一部と考えられています。

そのために、取り扱いには注意が必要です。

売った側の取り扱い

固定資産税精算金の取り扱いは、税金の計算上での取り扱いは、
売った側は、売買代金の一部
として取り扱います。

不動産の売買金額2,000万円のほかに、固定資産税精算金10万円(固定資産税20万円/年のうち半分を精算)をもらった場合には、

売買代金は、2,010万円(不動産の売買代金2,000万円+固定資産税精算金10万円)となります。

固定資産税精算金10万円は、売買代金に加算しなければいけません。
税金の戻りというわけではないので、注意が必要です。

買った側の取り扱い

固定資産税精算金の取り扱いは、税金の計算上での取り扱いは、
買った側は、取得価額の一部
として取り扱います。

事業で使うのであれば、売買代金と同様に固定資産税精算金も、土地と建物に区分して、
建物であれば、減価償却をして毎年少しずつ経費にしていきます。
土地は減価償却ができないので、土地部分の固定資産税精算金も経費にはなりません。

固定資産税精算金を、租税公課として経費にしないよう注意しましょう。