18万円のパソコンの経理方法3つを比較してみました

10万円以上のモノを買った場合には、原則として1回で経費にすることはできず、数年にわたって経費にしていくことになります。
10~20万円のモノの場合、特例を含めると3通りの経理処理があります。
18万円のパソコンを例に、メリット・デメリットを考えてみました。

原則的な計算方法

10万円以上のモノを買った場合、固定資産に計上して数年に分けて経費にしていきます。

年数はきめられており、パソコンであれば、「器具備品」に該当し、
「事務機器、通信機器」→「電子計算機」→「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)」となり、4年間で経費にしていきます。

18万円のパソコンであれば、毎年45,000円ずつ経費にしていくことになります(定額法の場合)。

ただし、買ったときが年(年度)の途中であれば、初年度は45,000円ではなく、月割りで計算します。

12月決算で7月に買っていれば、6か月使用していることになり、
45,000円 × 6カ月/12か月 = 22,500円が経費になります。

月割りですので、買ったときが7/1であっても、7/31であっても6カ月として計算します。
1か月未満は1か月としてカウントします。

経費にできる金額のイメージは、このようになります。


そして細かい話にはなりますが、注意点があります。
・厳密には買ったときでなく使い始めたときから経費
(7/1に買ったとしても、使い始めたのが10/1であれば3か月分しか経費にできません)
・最後の年は1円残して経費にする(存在を忘れないようにするため)
・経費にしている途中で、処分したり売却した場合には、経費にしていない残りの部分も経費にできる(3年目の年末に処分したら、4,5年目に経費にする部分67,500円も経費にできる)
・使っていなければ経費にはできない
(法人はあとで経費にできますが、個人ではあとで経費にはできません)
・償却資産税の対象

ところで、18万円のパソコンの場合であれば、後述する特例があるため、原則通り計算することはほぼありません。

また30万円以上であれば、これが原則的な方法となり、これ以外の方法はありません。

特例的な計算方法

30万円未満の場合(少額減価償却資産)

30万円未満であれば、上記の原則的な計算方法でなく、1年で経費にすることができます。

・年間300万円まで
・青色申告が前提
・決算書に明細書をつける
といった条件もあります。

気をつけたいのが、1年で経費にはなりますが、償却資産税の対象です(車など対象外の場合もありますが)。

会計ソフトや税務ソフトを使用している場合、1年で経費になるからと、耐用年数をきちんと処理しないと、償却資産税の申告の誤りになる可能性があります。

20万円未満の場合(一括減価償却資産)

20万円未満であれば、耐用年数が何年であっても、3年で経費にすることができます。

18万円のパソコンであれば、3年にわたり6万円ずつ経費にすることができます。

20万円未満であれば、30万円未満でもあるため、どちらのルールでもOKです。
それであれば、30万円未満で1回で経費にした方が有利になりそうですが、20万円未満のメリットはあります。

・青色申告かどうかは問われない
・金額の上限がない
・償却資産税の対象ではなくなる
・少しずつ経費にできる(個人の場合超過累進税率のため)

といったメリットがあります。

3通りの経費の仕方のイメージ

3通りの経費の計上の仕方の違いはこのようになります(定額法の場合)。
最終的に経費にできる金額はどれを選択しても変わりません。

どれを選ぶかは自由

10万円以上のモノの、経費の計算方法は条件に合致すればどれを選ぶことができます。
期中で処理していたものを、申告間際に変更することも可能です。

20~30万円のモノの場合、原則的な方法か、1回で経費にする方法(少額減価償却資産)のいずれかを選ぶことができますが、原則の方法はメリットが特になく、合計で300万円を超えてしまったら、やむなくといったところでしょうか。

10~20万円の場合、3通り選べます。
この場合でも、原則的な方法はメリットがないので、実質2通りから選ぶことになります。
① 1回で経費にできる少額減価償却資産を優先して、300万円を超えた場合、一部を一括償却資産にする
② 償却資産税を回避するため、なるべく一括償却資産にする
この2つの考えから、決めていただくことになります。

ただし、償却資産税の申告前に決めておかないと、正しい償却資産税の申告ができないので注意しておきましょう。

<この記事での考え>
30万円未満のモノを買った場合の経理について書いてみました。
一括償却資産はあまり利用されませんが、償却資産税の対象から外れますし、個人であれば超過累進税率の観点から、利用してみてもいいのではないでしょうか。