子どもに不動産を渡すなら、売買・贈与・相続?

たまに子どもに不動産の名義を変えたいというご相談を受けます。

生前であれば、売買か贈与かという選択肢があります。

ただし、いずれにしてもデメリットは大きいです。

売買

まず、子どもに名義を変える一つの方法は、売買です。親の財産(この例だと不動産)を子どもに売却することです。

この場合には、売却した親が税金の対象者になり、

(売却代金 − 過去に買った値段 − 売却時の経費)×20.315%

ほどの税金が課税されてしまいます。

ここで問題になるのが、売却代金です。

身内であれば売買代金で税金(相続税や贈与税も含めて)をいくらでも操作できてしまうことから、基本的には時価での取引が求められます。

時価から乖離してしまえば、別途贈与税にも問題が及びます。

時価がいくらかと言えば、厳密にこの値段なら大丈夫という規定はありません。その判断は非常に難しいです。

タダであげるから贈与税がかかる。では1円で売れば大丈夫・・・ではない

無駄な税金を払う可能性が非常に高くなりますので、安易な売買はおすすめできません。

ちなみに、相続税対策にもなりません(不動産が同価値のお金に変わっただけなので)。

贈与

生前に不動産を渡すもう一つの選択肢として、贈与という方法があります。

その名の通り、無償で子どもに不動産を渡す方法です。

この場合には、もらった子どもに贈与税がかかります。

贈与税は決して安いものではありませが、相続時精算課税制度を使うことで、ある程度の税負担は少なくすることができます。

贈与税を計算する際に、不動産の値段を計算する必要がありますが、こちらはある程度の基準があり、売買と違ってここで悩むことも少ないでしょう。

ただし、贈与税の負担が少なかったとしても、その後の相続税に影響を及ぼす場合がほとんどです。特に、相続時精算課税制度を使って贈与税が0円だったとしても、その後に相続税が課税されるケースはあります。

また、名義変更時にかかる登録免許税や、相続のときにはかからない不動産取得税がかかるなどと、ほかにもコストはかかります(売買も同様)。

そのため、どうしてもというのであれば、まずコストがどれくらいかかるのかを事前に把握しておきましょう。判断をミスってしまうと、想像以上の税金がかかることもありますので・・・。

贈与をする前にコストを計算しておきましょう

不動産を生前に子供名義に変える場合に起こること

相続

生前に不動産を渡すにはリスクがあります。

そのため、特別な理由がないようだったら、相続で渡すほうが一番コストもリスクも少ないです。

よほどの富裕層でない限り、生前で不動産を贈与したほうがいい場合はほぼありません。

なぜ、贈与や売買に比べて相続のほうがコストが少ないかといえば、贈与や売買は時期をいつでもコントロールできるのに対して、相続は時期をコントロールできず、しかもやむを得ずといった理由があるからです。

コスト面では圧倒的に相続で渡すことが有利です。生前に渡すことを考えている場合、そういった面を考えておく必要があります。

<昨日の出来事>
午前はランニング7kmとお客様との打ち合わせ。
午後は新しいパソコンの開封を。

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