不動産を生前に子供名義に変える場合に起こること

比較的ご相談に多いのが、自宅(不動産)の名義を子供に変えたい、ということ。
すでに変えてしまったけどもどうしたらいいか、といったことも意外に多いです。
思わぬコストが発生することがあります。

贈与税

まず、考えられるのが贈与税です。

そもそも、生前での名義変更したことが贈与という認識がない方もいますのでご注意を。
名義変更→子供のものになる→贈与ですので。
名義変更を自分でやるにしても、司法書士にお願いしても、いろいろな書類を書くことになるので、認識がないかもしれませんが、その中に贈与契約書もあるはずです。
何もなければ名義変更はできませんので…

ところでこの贈与税ものすごく高いです。
相続税と比べても圧倒的に高いです。
不動産であれば少なくとも評価額は500万円くらいになるはずです。
500万円に対する贈与税は48.5万円です。

不動産の評価がさらに大きければ、贈与税も一気に膨れ上がります。

この一時的な税金を回避するために、相続時精算課税制度というものがあり、贈与税を抑える手段もあります。

多少使い勝手がよくなった相続時精算課税制度

もうすでに名義変更をしてしまった方には、こちらをお勧めせざるを得なくなります。

ただし、この制度を使ってしまうと一生涯にわたってこの制度を使い続けなければならず、リスクも伴いますのでご注意を。

その他の税金

不動産を生前に贈与した場合には、贈与税だけでなく他の税金も課税されます。

不動産取得税

不動産を贈与した場合には、不動産取得税が課税されます。

基本的には申告は必要ありませんが、忘れたころに納付書が届きます。

不動産取得税は、固定資産税評価額の3%ほどかかってしまいます。

なお、相続でもらった場合には、不動産取得税はかかりません。

登録免許税

不動産を名義変更する際には、登録免許税というものがかかります。

登録免許税の場合には相続の場合でもかかりますが、

相続の場合には、固定資産税評価額の0.4%ほどですみますが、
贈与の場合には、固定資産税評価額の2%ほどかかりこちらも割高になります。

収入印紙

さほど大きなコストではないですが、贈与契約書には200円の収入印紙が必要です。

不動産の譲渡で契約金額の記載のない契約書として扱われるからです。

税金も大事だが気持ちも大事

ここまでは、税金面でのデメリットをあげてきました。

税金面だけの話であれば、ほとんどの方が損をするケースの方が圧倒的に多いです。

不動産名義は親で、実際に住んでいるのは子供であっても全く問題ありません。
相続になってから、不動産を渡した方が税金が少なくすむことが通常です。

私としてもやめた方がいいというのが本音です。

ただし、贈与には気持ちというものも存在するのも事実です。

「生きているうちに子供に譲りたい」という親心があるのも事実です。

税理士は、その気持ちまでは止めることはできません。

もちろん、金銭的なコストも安くはないので、じっくり考えて最善策をえらんでいただければ。

親心にも税金がかかっているように感じてしまいますね。

<この記事の考え>
不動産の名義変更に関する相談が続いたため、まとめてみました。
金銭面で大きな負担が生じる可能性が高いです。
親心を大事にするか、金銭面を大事にするか、参考にしていただければ幸いです。