所得税の所得控除とは

所得税の場合、収入や利益に税率をかけて税金を計算するわけではありません。
税率を掛ける前に、自分の家族構成や社会保険(健康保険や年金など)を払っていたりするとそれに応じて、利益から差し引くことができます。その分税金が安くなります。


(今回は左下の部分をざっくりと…)

所得控除とは

所得税の計算の流れは、このようになっています。

1.収入を計算する
2.所得を計算する(要は利益みたいなもの)  所得税申告書の収入と所得の違い
3.所得控除を計算する
4.所得税を計算する

所得税を計算する際は、所得から所得控除という金額を引いて、残りに対して税金がかかります。

つまり、所得控除が大きければそれだけ税金が安くなるということです。
所得控除は15種類あり、所得控除が0円という人は通常いません。

15種類の所得控除

社会保険料控除

社会保険料とは、
1.医療保険料(健康保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料)
2.介護保険料
3.年金保険料(厚生年金保険料、国民年金保険料、国民年金基金)
4.労災保険料
5.雇用保険料
が、該当します。

金額が大きくなりますので、きちんと確認しておきましょう。
支払った(天引きされた)金額、全額を引くことができます。
会社員の場合は、年末調整時に会社が計算してくれます。

税金を安くしたいなら、社会保険料控除を見直そう

小規模企業共済等掛金控除

小規模共済の掛金を払った場合には、ここから差し引きます。
こちらも、支払った金額全額引くことができます。

小規模企業共済は節税の第一歩

生命保険料控除

生命保険料を払った場合に差し引くことができます。
10月頃に送られてくる、生命保険料控除証明書をもとに計算します。
ただし、支払った保険料全額が引けるわけではありません。
計算が複雑な割に最大12万円までしか引けません。

地震保険料控除

火災保険に付随して、地震保険料を払った場合に引くことができます。
ただし、火災保険料の部分は対象外です。
計算は簡単ですが、最大5万円です。

寡婦控除、ひとり親控除

・夫と離婚+扶養親族あり → 27万円
・夫と死別 → 27万円
・婚姻していない +扶養親族あり → 35万円
ただし、本人の所得制限があります。

勤労学生控除、障害者控除

・障害者の場合 27万円
・特別障害者の場合 40万円
・家族が特別障害者 75万円
障害者か特別障害者の判定は、障碍者手帳などに記載している等級によります。

※勤労学生控除はあまり事例がないので省略

配偶者控除、配偶者特別控除

配偶者の収入に応じて控除があり、最大で38万円(70才以上は48万円)です。

配偶者の所得が95万円(給与だと150万円)から少しずつ減っていき、133万円(給与だと201万円)でなくなってしまいます。

一昔前は、103万円の壁なんてものもありましたが、配偶者に限って今はありません。

扶養控除

・~15才 → 0円(児童手当があるので)
・16~18才 24才~ → 38万円
・19~23才 → 63万円
・70才以上 → 48万円(同居なら58万円)

ただし、所得が48万円(給与だと103万円)を超えたら、使えません。
子供がアルバイトをしているようだったら、十分注意しましょう。
1円でも超えたらアウトなので、ぎりぎり103万円も避けてもらったほうが無難です。

年齢は、年末(12/31)で判断します。

基礎控除

一律48万円です。

ただし、所得が2,400万円を超えると減っていき、最終的には0円になることもあります。

雑損控除

災害や盗難があった場合に使うことができます。
(あまり事例がないので、説明は省略します)

医療費控除

医療費が10万円(10万円より少ないこともあります)を超えたら、超えた分だけ控除が受けられます。

10万円をちょっと超えたくらいでは、手間の割に恩恵は少ないかと思われます。

入院など大きな金額がかかった場合、検討してみてください。
ただし、高額療養費が戻ってきたり、保険金が入った場合は医療費からマイナスするので、ご注意を。

寄付金控除

決められたところに寄付をしたら、2,000円を超えた部分を引くことができます。

ふるさと納税も、ここから引きます(残りは住民税)

所得控除で大事なこと

所得税で節税というと、ふるさと納税や医療費控除に目が行きがちです。

その前に、人的控除(配偶者控除や扶養控除)や社会保険料控除を精査すべきです。
いずれも金額は大きいです。

人的控除であれば、手間はなくお金が出ていくこともありません。

社会保険料控除は、必ず払わなければならないものです。ないってことはありません。

節税のテクニックを使う前に、この2つをきちんと確認しましょう。