小規模企業共済は節税の第一歩

個人事業主は、退職金を払っても経費にできません。
その代わりに、小規模企業共済に加入することで、
退職金を税制上の優遇を受けながら自分で積み立てて、
将来に退職金と同様に受け取ることが可能です。

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、中小企業基盤整備機構が運営するもので、
掛金を払うことにより自分でお金を積み立てて、
事業をやめた場合に退職金として受け取ることができるといった制度です。
(多少の上乗せもあります)

掛金は、1,000円~70,000円(500円単位)で、自分で決めることができます。
また、途中での金額の変更は可能です。

ただし、個人事業主であっても、加入条件に従業員の人数があるため、
従業員を雇う予定のある方は、加入できなくなる恐れがあるので、
早めに加入しておくことをお勧めします。
途中で従業員が増えたからといって、解約させられることはありません。

支払時も受取時でも税金は有利

支払時は全額所得控除

小規模企業共済の掛金は、払った金額全額が経費(実際には所得控除)になります。

掛金を毎月5万円掛けていて、税率が30%(所得税20% 住民税10%)であれば、
税金が18万円安くなります。

つまり、60万円を掛けていても、18万円税金が安くなるので、
実質、差額の42万円の負担で、60万円積み立てることができます。

受取時も税額は有利になる

事業をやめたときには、
・一括受け取り(退職金扱い)
・10年か15年での分割受け取り(公的年金扱い)
・一括受け取りと分割受け取りの併用
を選択できます。

退職金扱いになっても、公的年金扱いになっても税金は優遇されます。

上記の例で、掛金を30年間、毎月5万円掛けていた場合(全部で1,800万円)、
一括受け取りで受取る金額が、1,800万円と仮定すると
(実際には上乗せ分がありますがここでは省略します)、
税金は約23万円で済みます。

この例での節税効果は、毎年掛金を払うことにより30年で540万円(18万円×30年)、
受取時に税金を23万円支払いますが、
約500万円もの税金を安くすることになります。

注意点

小規模企業共済が制度上も税金上も優遇されてはいますが、注意点もあります。

・6カ月未満の廃業や死亡は、掛け捨て
・20年未満の任意解約(事業は継続するけど、小規模共済だけはやめる)場合、
受け取る金額は、掛金を下回る
・任意解約の場合に受け取る解約金は一時所得となり、退職金や公的年金のように税金が
安くなることはない

当然ながら、税金が安くなるとは言え、掛金を払う以上手元からなくなるので、
事業資金や生活費を圧迫しない、余裕資金で掛けましょう。

掛金5万円を掛けて、税金が18万円安くなったとしても、
手元からは、42万円なくなっています。
そのお金は、受取条件に該当するまで、手元には戻ってはきませんので。
(利息を払えば、掛金の一部を借りることは可能です)