金融機関への借入金の繰り上げ返済は、間違えなくNGです。
財務状況も確実に悪化するばかりか、金融機関からもいい目では見てもらえません。
業績の改善はするが、財務は悪化する
会社の業績が落ち着いてくると、目に行ってしまうのが「支払利息」。
お金が余っているのに、利息を払い続けるのはもったいない。
払う利息が減れば、利益も増えるなと。
このように考えてしまいがちです。
ただし、これは損益計算上の話であって、貸借対照表上は間違えなく悪化します。
借入金がなくなると同時に、お金がなくなってしまうからです。
お金がなくなってしまえば、いくら黒字であっても会社は倒産します。
繰り上げ返済をすれば自己資本比率も上がります。
しかし自己資本比率はよくなったからといって、財務状況もよくなるのではないかと考えるのも間違いです。お金がなくなってしまえば、元も子もありません。
金融機関にとっても嬉しくない
金融機関にとっても、貸したお金が確実に返ってくるので、繰り上げ返済は喜ばれるのでは、
と、考えがちですが、これも間違いです。
金融機関は、お金を貸すことで、その対価として利息をもらうのがビジネスモデルです。
会社にとっての支払利息は、金融機関にとっては売上高になるわけです。
お金を返してもらっては、金融機関も売上がなくて困ってしまいます。
金融機関は、お金を貸したいわけです。
貸さないと、金融機関にはお金が入ってこないわけです。
また、金融機関からお金を借りるときに、○円を△回にわけて利息をつけて返してくださいね、
といった約束(契約)を結ぶことになります。
そのような時に、繰り上げ返済をしてしまうと、初めの約束とは異なってしまいます。
場合によっては、契約違反といったことにもなってしまいます。
また、お金を貸すという行為は、金融機関にとっての商品です。
金融機関にとっての繰り上げ返済は、商品を返品されることを意味します。
自分にとっても商品の返品は、イヤですよね。
お金を確保しておくことの方が大事
お金が余っているから、繰り上げ返済を考えるのでしょうが、
本当にお金は余っていますか?
万が一の時にも対応ができるだけのお金は本当にありますか?
ギリギリまで粘って足りなくなったら、お金を借りればいいのでは…
この考えも間違いです。
金融機関は、お金を貸したがってはいますが、誰でも関係なく貸してくれるわけではありません。
きちんと返済をしてくれる人にしか貸してくれません。
お金を借りられなかったらアウトくらいのお金しかなければ、まず借りることはできません。
お金を借りられたとしても、好条件で借りることはできないでしょう。
中小企業にとって外部から資金調達ができるのは、基本的には金融機関から融資を受けることだけです。金融機関との関係を強化して、多少の利息を支払ってでも、お金を確保しておくことが大事になってきます。銀行への利息も、資金調達に対する保険料と考えてみるのはどうでしょうか。
■広瀬純一のプロフィール
■単発相談 対面・オンライン相談 メール相談
■個人のお客様 税務顧問 個人の確定申告
■法人のお客様 税務顧問 年1決算プラン(法人様向け)
■相続税の申告・ご相談 相続税の申告 相続税の試算
■税務調査・無申告対応 税務調査対応 無申告対応