決算書にある貸借対照表は、会社の財産状況を表すものとは言いますが、実際にはその価値があるかどうかを記載されているわけではないので、数字だけを追っていては、正しい財産の状況を把握できません。
貸借対照表に書いてある金額
貸借対照表は、一定時点での財産の状況を表すものということになっています。
ただし、貸借対照表に表示されている数字というのは、その数字通りの価値があるわけではありません。あくまでそのものを買った値段から、すでに経費に落とした残りの金額が表示されているだけにすぎません。
例えば、貸借対照表に土地3,000万円が掲載されていた場合には、あくまでその土地を過去に3,000万円で買ったという事実のみが掲載されているだけであって、3,000万円の価値があるかどうかは、貸借対照表からは、一切わかりません。
1億円の価値があっても、1,000万円の価値しかなかったとしても、過去に3,000万円で買っていれば、売却するまでは土地3,000万円と表示され続けます。
また、車であっても4年落ちの外車を購入した場合、
定率法であれば1年、定額法であっても2年で貸借対照表に表示される数字が1円になります。
ただし、4年落ちの中古車であっても、価値が1円しかないかというと、そのようなことはまれです。
貸借対照表の金額より、価値があるのか、ないのかは、数字を見ただけではわからず、
個々に調べる必要があります。
貸借対照表に表示されていないけども、価値のあるもの
貸借対照表が財産状況を表すものであっても、すでに経費に落としてしまっている場合には、財産価値があっても、貸借対照表に計上されません。
生命保険料や、倒産防止共済掛金(経費計上している場合)といったものが該当することがあります。いざというときには、解約して換金などして、資金調達ができます。
年に1回は財産の棚卸をしてみる
会社の財産状況は、貸借対照表の数字だけでは判断できず、個々の財産を確認することによって、
現実の会社の財産の状況を把握することができます。
また、いざというときの資金調達手段にもなります。
年1回くらい、できれば決算時にでも、どんな財産があるかを大まかに把握しておきましょう。
不動産
不動産は、長期にわたって保有しているため、価値が貸借対照表上の金額と大きく乖離していることがあります(特に土地)。
そのため、どれくらいの価値があるのかを把握しておきましょう。
近隣での値段であったり、路線価や固定資産税の課税標準額などの金額を参考にすれば十分です。
またその不動産が、
・含み益を抱えているのか、含み損を抱えているのか
・担保余力はあるのか
などを把握しておきましょう。
生命保険
生命保険は、貸借対照表に計上されているもの、経費計上して貸借対照表に計上していないものがありますが、今解約したらいくら戻っておくか(解約返戻金)を把握しておくべきです。
生命保険の解約返戻金は、生命保険会社に問い合わせればわかります。
経理処理案内などを受け取る場合には、ついでにお願いしておきましょう。
生命保険を解約すれば資金が調達できますが、それ以外にも契約者貸付制度によって資金を調達することもできます。
契約者貸付制度とは、解約返戻金の70~90%くらいの資金を借りることができます。金利は3%程度と若干高めですが、基本的には審査はなく、3日程度で着金することができます。
もちろん、保証も継続します(保険料の支払も継続します)。
生命保険の契約者貸付金は、万が一の時の保険金が支払われるときに相殺してくれるので、返済しないままでいることもできますが、
・いざというときには借りられない
・金利は高い
・保険金が払われるときに、入金がなくても税金がかかる
といった問題があります。
倒産防止共済掛金
倒産防止共済を掛けている場合には、何カ月掛けているか、現時点でいくら払い込んだかを把握しておく必要があります。
40か月掛けていれば、いつ解約しても元本割れなしで、払込金額残額が戻ってきます。
ただし、解約時に税金がかかることもあるので、それも忘れずにしておきましょう。
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