相続税対策は現金での対策が一番簡単

相続税の申告が必要な方は、10人に1人いるかどうかといった割合です。
相続税を0円にするのは難しいかもしれませんが、多少なりの対策をすることで、
相続税を減らすことが可能であったりします。

土地での生前贈与での対策は難しい

国税庁では、相続税の申告事績というものが発表されています。
相続税の申告の状況を公表しているものです。

その中で、相続税の財産の内訳を見てみると、土地と預金がそれぞれ3分の1を占めています。

ところが、相続税対策を考えたときに土地の生前贈与での相続税対策はなかなか難しいです。
・そもそも土地の評価自体が難しい
・細分化が難しく110万円以内に抑えながら、コツコツというのが難しい
(持分を少しずつ渡しながら、というのは可能ではあるのですが)
・諸費用が掛かる
(名義変更時の登録免許税(司法書士に依頼する場合にはその報酬)、不動産取得税)
・贈与税の土地での特例はほとんどない(配偶者に家を渡す特例くらいです)
・相続税の場合には小規模宅地の特例がある
といったことです。

基本的には、相続税で納めた場合の方が有利になることがほとんどです。
そもそも、贈与税の場合は相続税より圧倒的に高くなってしまいます。

預金での対策は比較的簡単

現金の贈与というのは、比較的簡単です。
さかのぼる期間が、3年から7年に延びたため対策しづらくなってはいますが、
やらないよりは、やったほうが効果はあります。

さかのぼる期間が、3年から7年に延びたとはいえ、経過措置があるので、
来年令和6年に行う贈与は、さかのぼる期間は4年です。

さらに言うと、今年(令和5年)の贈与は、まだ3年のままです。

110万円の贈与は相続税対策に有効か?

贈与税がかからなくても、贈与契約書は必要です

また、不動産の贈与をした場合の特例は、少ないですが現金の贈与の場合には、特例はあります。
注意しなければならないこともありますが、不動産の贈与と比べて、効果は高いです。

教育資金の一括贈与には、税金がかからない制度があります

お子様が結婚したら、一括贈与で相続税対策ができます

住宅購入の資金援助すると、贈与税が安くなる特例もあります

相続税の対象になる人が増えたが

ところで、平成27年の税制改正で相続税の基礎控除額が下がったことで、
相続税の申告の対象になる人が、100人に4人からに8人に増えています。

相続人が子2人だったと仮定すれば、
平成26年までは7,000万円、平成27年以降は4,200万円以上財産があると、
相続税の対象になっています。

つまり、4,200~7,000万円ほどの財産を持っている方が、100人に4人いると考えられます。
このケースの場合、自宅+ちょっと多めの預金というケースがほとんどではないでしょうか。

7,000万円から4,200万円に財産を減らすには、
毎年100万円ずつ子2人に贈与すれば14年、子2人以外に子の配偶者にも贈与すれば7年、
さらに、お孫さんもいた場合には、さらに短期間でできます。

もちろん、預金があることが前提とはなってしまいますが、100人に4人は、あまり難しい対策を取らなくても、相続税を回避または、それなりの減額ができると考えられます。

相続税対策のポイントに必要なことは、時間をかけることと、こまめに証拠作り(贈与契約書)を作成することです。