110万円の贈与は相続税対策に有効か?

相続税の対策で一番メジャーなものとして、110万円の金銭での贈与があります。
簡単にできるので、相続税がかかりそうな人にはお勧めですが、注意点もあります。
最近はネット経由の口座が多かったので、預金通帳が1冊もありませんでした

相続税対策は必要か

そもそも、相続税対策は自分に必要なのか?
財産を列挙して、計算してみましょう。
当たり前ですが、相続税がかかる見込みがなければ、相続税対策は
必要ありません。
試算の仕方は、こちらもみて下さい。

そして、相続税対策はどうすればいいのか?
それは「財産を減らすこと」です。

110万円の金銭贈与は有効か

相続税対策として、一番メジャーなものに110万円の金銭での贈与があります。

メリットをあげると、
・税金がかからない
・申告の必要もない
・かんたん(ちょっとした契約書の作成とお金を振り込むだけ)
・もらう方はうれしい

比較的簡単に、税金がかからず財産を減らすことが可能となるわけです。

デメリット

110万円の金銭贈与にも、当然ながらデメリットもあります。

3年前(7年前)の贈与は、相続税の対象になる

いくら、贈与で毎年110万円もらっていたとしても、
3年前までに贈与でもらったものは、相続でもらったものとして扱われます。
贈与でもらった財産330万円が、相続税の財産に追加され、
相続税が20%かかるとしたら、相続税が66万円増加します(贈与税が0であった場合でも)。

なお、来年(令和6年)からは、相続税の対象となるのは7年前の贈与となります。
(さかのぼる期間が3年から7年になります)
今年(令和5年)の贈与までは、3年です。

亡くなる直前に贈与したとしても、相続税対策としては無意味になってしまいます。
自分は若いから「まだ大丈夫」と思わず早めに取り組んだ方がいいです。
相続税対策は、早め早めに行うことに越したことはないです。

財産がそれなりにある方では、相続税対策として不十分

贈与税は、相続税に比べて非常に高いです。
お子様やお孫様(18才以上)である場合には、以下のように贈与税がかかります。
(他人や配偶者、お子様やお孫様(18才未満)の場合は、税額が異なります。)

もらった金額 贈与税 実効税率
100万円 0円
200万円 9万円 4.5%
300万円 19万円 6.3%
400万円 33.5万円 8.4%
500万円 48.5万円 9.7%
1000万円 177万円 17.7%

だからといって、財産のある方が、
贈与税が払うのがもったいないからといって、110万円の贈与でとどめておいて、
最終的には、相続税で20%取られては、逆に損することになります。
500万円贈与しても、48.5万円(9.7%)で済みます(それでも高いですが…)。

相続税の試算をしてみて、どれくらいの税率で相続税がかかるのかを、
知っておくことが、一番の相続税対策となるわけです。
(本来の目的は、贈与税対策でなく相続税対策のはずなので)

生活の糧であるお金がなくなる

相続税対策であっても、お金の贈与の仕方には注意しましょう。
このような問題もあります。

相続の時に、相続するお金がなかったら、相続税が払えない

相続税は、財産をもらったら、その中から相続税を払って下さいといった流れです。
(もらった財産以上取られることはありません)
ですが、もらった財産が土地や建物ばかりで、現金があまりないと、
相続税が払えないことになります(基本は現金一括払い)。

将来相続人となる人以外(お孫様など)に、お金を贈与するときは注意しましょう。

自分のお金が減る

当然ながら、お金がなければ生活できません。
不動産では、衣食住の衣食は満たせません。

それから、自分がいつ亡くなるかは誰もわかりません。
それがわからないから、相続税対策が難しいわけです。
相続税対策も大事ですが、
それより、ゆとりある生活ができるお金は確保しておきましょう。