法人税の節税は利益が800万円を超えてから。倒産防止共済の前払い制度をうまく使う。

個人の給与と法人税のバランスをとりつつ、税金を抑えたいと考えるのは利益が800万円を超えてからが理想です。

利益をなるべくフラットにするには、倒産防止共済の前払い制度が有効です。


(利益と節税のバランスが重要)

法人税の税率

法人の税率は基本的には一定ですが、中小企業については利益800万円に税率が変わるラインがあります。

現在では、800万円までが約25%、それを超えると約33%程度です。

このラインがあるのは、法人が納める税金のうち法人税が、
800万円まで15%、それを超えた場合に23.2%と大きく上がるからです。

現時点では、令和7年3月31日までに開始する事業年度までの期間が決まっている特例でありますが、通常は継続します。

税金を払いたくないために節税するのはおすすめできませんが、

・役員としての給与をきちんと確保できている
・資金的に余裕がある
・利益が平均800万円以上ある

この3つの条件を満たしていることが、法人の節税を考える一つの目安です。

倒産防止共済の前払い制度

ところで、法人の節税に使われる商品に「倒産防止共済」というものがあります。

毎月の掛金5,000~200,000円を経費にすることができるとともに、40か月経過後の解約であれば全額お金が戻ってきます(利益になって税金の対象になりますが)。

倒産防止共済で節税するには

この倒産防止共済は毎月払い以外に、1年分を前払いすることができます。
そして、その前払した分も払ったときの経費にすることができます。

利益が800万円を大きく超えそうであれば、倒産防止共済の前払い制度を利用してある程度利益を減らすことで、法人税の税率が約8%上がる分の納税は回避できます。

利益をなるべく800万円以下にして、法人税の8%上乗せ分は回避することをお勧めします。
(もちろん会社の規模にもよりますが…)

倒産防止共済の前払い制度を使う注意点

期日に注意

倒産防止共済の前払い制度を使うには、前納制度を希望する月の5日までに手続きが必要です。

期日が間に合わなかったり、手続きを忘れてしまえば、通常の月払い(1か月分)です。

翌期にも注意

倒産防止共済の前払い制度を使うと、11カ月は倒産防止共済の支払いはありません。

その分、翌期の利益が増えることになることを念頭に置いておきましょう。

また、翌期も年払いをする場合には、再度手続きが必要です。

何も手続きをしないと通常の月払いに戻ります。つまり、翌期は1か月分の掛金しか経費にならなくなってしまいます。

解約後のルールが変わった

ところで、倒産防止共済制度の解約時のルールが変更になります。

令和6年10月以降に解約した場合には、2年間は経費にすることができなくなります。

(2年間再加入できないというわけではありません。)

「節税」という観点だけで見ると、使い勝手は悪くなってしまいます。

<大事なこと>
法人の節税は、
・役員としての給与をきちんと確保できている
・資金的に余裕がある
・利益が平均800万円以上ある
といった条件が整ってから考えるのがベストです。


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