相続時精算課税制度は、贈与税の負担が少なくする一方で、相続がおきた場合には、贈与でもらったものであっても、すべて相続でもらったものとして相続税を計算する制度です。
そのため、相続時精算課税制度で直接的な相続税の節税というのは基本的にはできませんが、うまく利用することで、相続税の負担を少なくすることが可能です。
収益物件の贈与
収益物件を持ち続けて利益を上げ続ければ、お金が増え続けてしまうので、その分財産が増えてしまい、結果として相続税の負担が大きくなってしまいます。
そのため、収益物件の生前贈与をすることで財産の増加を抑えることができるので、結果的に相続税の負担をすることができます。
その際に贈与税の負担が大きくなるようであった場合には、相続時精算課税制度を使うことで、贈与税の負担を少なくすることができます。
ただし、以下のようなデメリットもあります。
・不動産取得税がかかる
・登記費用が相続でもらうより高くなる
・建物のみの贈与の場合、土地の評価が高くなる
・小規模宅地等の特例が使えなくなる
・もらった方が収入が多い場合、所得税や住民税の負担増
場合によっては逆効果になることもありますので、相続税の試算をしてみたうえで検討しておきましょう。
値上がりしそうな財産の贈与
財産の中に値上がりしそうな財産があるようであった場合には、生前贈与をしておくことで相続税の負担を少なくすることができます。
その際に、贈与税の負担が大きくなるようであった場合には、相続時精算課税制度を有効活用することができます。
相続時精算課税制度を使った場合には、贈与でもらったものであっても、相続でもらったものとして相続税を計算します。その財産の評価は、相続時の評価額でなく、贈与時の評価額です。
そのため、贈与を受けた時から相続時までにいくら値上がりしていたとしても、関係ありません。
ただし、予想に反してその財産が値下がりしてしまった場合でも、同様に取り扱うため、その場合にはデメリットになってしまいます。
基礎控除を利用した贈与
令和6年から、相続時精算課税制度にも基礎控除110万円が使えることになりました。
通常の贈与にも110万円の基礎控除があるのですが、相続の時の取扱いが違います。
通常の贈与の場合には、基礎控除以下であっても7年以内に贈与を受けたものはすべて相続でもらったものとして取り扱います(一部例外あり)。
一方で、相続時精算課税制度を使った場合には、基礎控除以下の贈与はさかのぼる必要はありません。
そのため、贈与税がかからない110万円での現金での贈与をする場合には、相続時精算課税の方が有利になります。
相続時精算課税を使う場合には、初回に限り、相続時精算課税制度選択届出書の提出が必要です。贈与税の申告が必要ない場合でも提出は必要なので、忘れずに提出しましょう。
110万円贈与で相続税対策するなら、相続時精算課税制度を使ってはどうか
<大事なこと>
相続時精算課税制度を有効活用できるケースをまとめてみましたが、逆効果になる場合もあるので、相続税のシミュレーションも必ずしておきましょう。
<昨日の出来事>
午前中はお客様の帳簿整理、午後は税理士会とその忘年会。
帰宅が23時と…、ちょっと反省。
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