相続税の延納制度とは

相続税の納付は原則現金一括納付ですが、やむを得ない場合に限って数年間に分割して納付することができます。

ただし、誰でも気軽に利用できるわけではなく、条件はかなり厳しいものになっています。

相続税の延納制度の趣旨

相続税の納付は、故人様から財産を譲り受けたときにかかる税金です。その際に相続税を支払うための原資となるのが、故人様から譲り受けた財産になります。

故人様の財産が、現金や銀行預金といったものであれば、それを利用して相続税を納付することができます。一方で財産のほとんどが不動産のようにいつでも簡単に換金可能でないようなものばかりである場合には、相続税が高額になるにもかかわらず、それを納める現金がないため、納税ができないといった事態が起こります。

そのような場合に限って、相続税の延納制度を利用することができます。

延納制度を利用できる要件

相続税の延納制度を利用するには、以下の要件を満たす必要があります。

・相続税が10万円以上
・延納制度をしたい旨の申請をする
・納期限(10カ月以内)に現金で納付できない
・担保を提供する(延納期間3年以下&延納するのが100万円以下の場合には不要)

これを満たすからといって、いくらでも延納できるわけではなく、現金で納税できない金額に限られます。

延納ができる金額(現金で納税できない金額)は、以下のように計算します。

1.納期限にある現金預金や簡単に換金可能な財産の金額の合計額
2.3か月分の生活費
3.事業継続に必要な運転資金(1か月分)
4.金銭で納付できるのが可能な金額 (1 - 2 - 3)
5.現金で納税できない金額(相続税額 - 4)

延納制度は、延納ができる金額(現金で納税できない金額)があれば、申請をすることが可能で、認められることによって利用することができます。

延納できる期間

延納ができる期間についても上限がきめられており、財産の内訳によって利用できる期間がかわります。

延納できる期間を判定するには、不動産等の割合という指標を使い、以下のように計算します。

不動産等の財産の価額 ÷ 課税相続財産の価額

不動産等とは、不動産だけではなく事業用の資産、自分の経営している会社の株といったものが該当します。

この割合によって、以下の期間が限度となります。

不動産等の割合 不動産等以外の相続税 不動産等の相続税
~50%未満 5年 5年
50%以上~75%未満 10年 15年
75%以上~ 10年 15年

ただし、延納税額÷10万円で割った年数(1年未満切上)が限度となります。

<大事なこと>
財産に不動産や自分の経営している会社の株が多くを占めているような場合には、相続税が納税できなくなるおそれがあるので、どのように納税するかを考えておきましょう。
延納制度も選択肢のひとつです。

<昨日の出来事>
さらなる早起き(4時→3:30)を始めて2日目、意外とすんなり起きれるのが不思議です。
その後は、お客様の給与支払報告書をeLTAXで。1件目の連携がうまくいかずに3時間近くかかってしまいました。ランニングは7km。


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