いざというときのためと思っている、会社の定期預金。
その定期預金、本当にいざというとき使えますか?
定期預金の解約は難しい
個人であれば、基本的には定期預金の解約はいつでもできます。
一方、法人であって、かつ、その定期預金の預けている金融機関から融資を受けている場合には、様子がかわります。
そもそも、定期預金を担保に入れて、融資を受けている場合は解約できません。
自分の会社に、定期預金の証書や通帳がない場合には、担保に入れている可能性があります。
担保に入れていない場合であっても、融資を受けている金融機関に預けている定期預金は、
社長としては、とりあえず運転資金とは別口座にしておいて、いざとなったら使おうと考えているかもしれませんが、実際には、必要な時にいつでも解約というわけにはいかないようです。
そのいざというときは、どのような時でしょうか。
間違えなく、業績が悪化して、資金繰りが厳しくなったときであるはずです。
当然ながら、金融機関もそのことがわかっていますが、定期預金の解約理由を聞かれます。
金融機関では、窓口で解約の申し出があった場合には、上司の方が対応するように
なっているようです。
最終的には、「資金繰りが厳しいようであれば、融資をしますよ」と新規の融資を促されて、
解約できないことが、非常に多いです。
会社の定期預金だからと、強気に出たとしても、
解約した定期預金で借入金の返済を促されたり、
最悪な場合「今後の融資は…」などとなってしまいます。
融資を受けている金融機関からの定期預金の解約は、非常にハードルが高くなってしまいます。
金利も見た目以上に高い
金融機関からお金を借りると同時に、付き合いで定期預金を組んでしまうと、
実質的に金利も上昇してしまいます。
金融機関から5,000万円を借入(金利は1%)して、その際に定期預金1,000万円を組んだ場合について考えてみます。
この時点で、5,000万円を借りたものの、定期預金にした1,000万円は、実質的に解約できず、
使えないことから、実質的に借りたお金は4,000万円です。
金融機関に払う利息は年間50万円です(5,000万円×1%)。
一方で、金融機関からもらう利息は、ほとんどありません。
実質的には、
50万円(利息) ÷ 4,000万円(実質的に使えるお金) = 1.25%
となってしまい、当初提示された金利より、実体的には金利は高くなってしまいます。
できるだけ定期預金は組まないようにする
融資を受けている金融機関に預けている定期預金は、解約することが非常に難しく、
経営上は役に立つことは、ほぼありません。
利息によるメリットも、ありません。
できることといえば、
・できるだけ定期預金を組まないようにする
・定期預金が自由に使えないことを把握しておく
・業績のいいときに解約をお願いしてみる
ことです。
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