法人では減価償却費を計上するかしないかは自由です。
減価償却費を計上しないことについて、考えてみました。
法人が減価償却費を計上しないのは自由
減価償却費とは、30万円以上のモノを買ったときに、何年かにわたって経費にすることです。
個人事業であれば、毎年決められた金額を計上しなければなりません。
一方で、法人であれば、上限が決められていているだけです。
減価償却費を100万円計上していいことになっていれば、
100万円でも、50万円でも、0でもいいことになっています。
少なく計上して、今後経費にすることが可能です。
ただし、次の期にまとめて2年分とはできません。
今期の減価償却費の上限が100万円であるところ、今期は0としたからといって、
来期の減価償却費の上限が200万円(今期分100万円+来期分100万円)とは、
なりません。
減価償却費の上限は、あくまで1年分です。
銀行対策で減価償却費を計上しないのはナシ
法人は、減価償却費を計上するかしないかは、自由です。
つまり、利益操作ができることになってしまいます。
あくまで、税金が増える方向にはなってしまいますが…。
ところで、金融機関からお金を借りている場合には、年1回決算書を提出して、
業績を報告することになります。
この時に、赤字を隠すために減価償却費をしないで、黒字に見せる。
これは、ナシです。
すぐにばれます。
場合によっては、粉飾決算も疑われてしまします。
なぜならば、
・過去の推移を比較してわかる
・事業規模の割に利益が少ないと、不審に思われることもある
(税金もあまりは払わない範囲で、黒字にしたいはずなので、減価償却費で調整している)
・減価償却費の明細に、上限額と実際に計上した金額が記載されている
・申告書にも、減価償却をしなかった金額が記載されている
からです。
過去の赤字との兼ね合い
法人の場合には、黒字であっても、繰越欠損金(10年前までの赤字)があれば、利益と相殺して、
税金を減額することができます。
この繰越欠損金は、10年たっても相殺できなかったら、消滅します。
法人は利益が出れば、最低でも利益の25%ほど税金がかかります。
500万円の繰越欠損金が残っていれば、
今後利益が出れば、125万円もの税金を払わなくて済みます。
これを消滅させてしまうのは、もったいないです。
そこで、繰越欠損金が残り2~3年で消滅してしまうようであっったら、
減価償却費を計上しないで黒字にし、繰越欠損金を利用することを
考えてみることもありかと思います。
減価償却費は、いつでもというわけではないですが、期限切れはなく、
後日、必ず計上できます。
最後に、銀行からお金を借りている場合には、その旨伝えた方がいいです。
「繰越欠損金との兼ね合いで」と伝えれば十分でしょう。
何も言わないと、あらぬ疑いをかけられてしまう場合がありますので。
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