消費税には、中間申告という制度があり、前年の納税額に応じて年の途中(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)で今年の納税をする制度があります。
それと似たような制度で、消費税には課税期間の短縮制度というものがあります。
この2つの制度の違いをまとめてみました。
申告は任意か、義務か
消費税の中間申告の場合には、前年の納税額に応じて、今期の消費税を納税する制度です。
前年の納税額に応じて、中間で納める金額が決まりますので、申告そのものは不要で決められた金額を納税するのみでOKです。
納税がキツイ場合には、仮決算を組んでその数字で納税することも可能です。ただし、計算上還付になっても還付はされません。最低でも納税なしまでです。
一方で課税期間の短縮は、その期間に応じてきちんと仮決算をしたうえで消費税の計算をしなければなりません。申告しないで、…というわけには行きません。
課税期間の短縮をしてしまうと、納税だけでなくその期間の消費税の申告が必要になります。
3ヶ月に短縮した場合には年4回、1ヶ月に短縮した場合には年12回ほどの消費税の申告が必要になります。
消費税の申告期間
消費税の中間納税制度の場合での、中間納税はあくまで仮の納税です。
最終的な消費税は、確定申告時に1年分の納税額を計算します。納税額から、中間申告での納税額を引いた残りが、確定申告時の納税額となります。
また申告回数や期間は選べません。前年の納税額に応じて、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、中間申告義務なし、と決まります。
そして、課税期間の短縮制度を利用している場合には、その期間ごとの申告です。
1年より短い期間での申告なので、1回の申告での計算は多少楽ですが、複数回申告しなければならないため、手間はかかります。
その代わり、期間の選択は、1ヶ月、3ヶ月(6ヶ月はありません)と、自由に選ぶことができます。
課税期間短縮は任意
消費税の中間申告は、義務であってこれを変えることができません(金額によっては義務なしになることもありますが)。
ただし、納税だけすれば申告自体は任意なので、さほどの手間はかかりません。
ところが課税期間の短縮は、必ず申告と納税が義務になります。課税期間を短縮するかどうかは選ぶことができます。
そのため、実務上は課税期間の短縮することはありません。実際、年1回ですむ申告回数を増やしても、手間だけがかかるだけだからです。
この制度は、海外への売上のある方向けで、消費税の還付のスピードを上げて資金繰りを良くするために利用されています。
そのため、自分がやりたいと届出を出さない限り使うことができません。
ただしこの短縮の届出を出してしまうと、
・短い期間で複数の申告が必要になる
・税理士に依頼していれば、その分の費用が余計にかかる
・申告自体は義務
・2年間はやめられない
・2割特例はNG
といったデメリットがあります。
自分が有利になりたいがための、課税期間の短縮制度なので、その分細かいルールは厳しめです。やめるという届出を出さない限り永遠に続いてしまいます。
課税期間の短縮する場合には十分注意しましょう。特に3ヶ月で区切ると、忘れがちになってしまうので。
中間申告制度 | 課税期間の短縮 | |
任意or義務 | 義務 | 任意(ただし最低2年、やめる届出を出すまで永久に続く) |
申告の必要の有無 | 不要(確定申告時のみ) | 毎回必ず必要 |
期間 | 選べない(前年の納税により、1.3.6ヶ月毎orなし) | 選べる(1ヶ月or3ヶ月) |
還付 | なし(申告しても0円が限度) | あり |
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