期限後申告とは、申告期限を過ぎてから申告書を提出することです。
通常の申告書と提出する内容は同様ですが、特典を受けることができなくなるなどのデメリットばかりです。
どのようなデメリットがあるかをまとめてみるとともに、それでも申告書を提出してほしい理由をまとめてみました。
65万(55万)円控除は受けられない
青色申告をしていることによるメリットの一つに、65万円(55万円)控除というものがあります。
お金を減らすことなく利益を65万円圧縮してくれるため、単純に納税が少なくなります。
ただし、これは申告期限(3/15)までに提出することが条件です。
そのため、申告期限を1日でも過ぎてしまうと、 65万円(55万円)控除 → 10万円控除 になってしまい、少なくとも8万円以上は納税額が増えてしまいます。
万が一、提出期限ギリギリになりそうだったら、
・提出期限に間に合わせることを優先する
・細かい経費の入力はあきらめる
というのも、ひとつの選択肢です。
細かい経費よりも65万円控除の方が有利な方が多いでしょうから。
ただし、売上高だけはきちんと合わせましょう。
ペナルティーがある
確定申告の期限に間に合わなかった場合には、延滞税と加算税という2つの余計な税金がかかります。
納税額によってはかからないこともありますが、できれば避けたいものです。
なお、この2つの税金は経費にすることができませんのでご注意を。
延滞税
延滞税は、納税が遅れたことによるペナルティーです。利息みたいなものです。
延滞税はこのように計算されます(税務署が計算して後日納付書がきます)。
税額 × 2.4%(2カ月過ぎたら8.7%) × (納税が遅れた日数)/365日。
ただし、
・税額が10,000円未満
・計算した延滞税が1,000円未満
の場合には、延滞税はかかりません。
申告してあっても、納税が遅れてしまった場合にも延滞税はかかります。
無申告加算税
無申告加算税は、期限に遅れて申告書を出した場合や申告自体をしなかった場合に課税されます。
無申告加算税は、
税額 × 15%(50万円を超える部分は20% 300万円を超える部分は30%)
と計算されます。
ただし、上記の場合は税務署から何らかの指摘を受けた場合であり、
・調査の通知を受ける前に自主的に申告した場合は5%
・申告期限から1か月以内に申告・納税をすませている場合には無申告加算税はありません
(ただし5年以内に同じことをやっていないことが前提です)
といった軽減措置はあります。
期限後申告であっても、申告書を提出してほしい理由
ところで、所得税の確定申告の申告期限は3/15ですが、もし出し忘れてしまったからといって、すぐに連絡が来ることはありません。ほっておいても、数年間は連絡がないことが普通です。
だからといって、ほっておいてはいけません。
普通に申告していれば調査機関は通常3年ですが、無申告の場合は調査機関が5年に延びます。悪質な場合には7年間さかのぼられます。
そして無申告という状態は、一番悪質と考えらます。
なぜならば、「納税する意志すらない」と判断されるからです。
延滞税や加算税も無申告の状態が一番重くなります。
一方で、税務署から指摘を受ける前に申告書を提出すれば、ペナルティーはあるものの、だいぶ軽減されます。
この記事を書いているのは、3月22日で所得税の申告期限は過ぎてしまっていますが、もし提出していないようであったら、早めに対処しておきましょう。
ただし、還付申告の場合期限は5年なのでまだ大丈夫です。
また、消費税の申告は3/31(今年は土日の関係で4/1です)ですのでまだ間に合います。
<大事なこと>
税金の申告は期限内にしてほしいところですが、万が一過ぎてしまった場合には、早めに対処しておきましょう。その後の負担は少なくなります。
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