相続税をいくら納めようとも、相続でもらった不動産を売却した場合には別途税金がかかります。
残念ながら、相続税と不動産を売った時の税金は別物です。
相続財産の売却は所得税・住民税の対象
財産を相続すると、故人様の財産の金額によっては相続税がかかります(金額によってはかからないこともありますが)。
相続でもらった不動産の売却を考えることもあるかと思われますが、この不動産を売却した場合も税金の対象になり所得税や住民税がかかります。
つまり相続で財産をもらった財産を売却すると、
・相続税
・所得税と住民税
と2種類の税金がかかります。
相続税を払ったのに、さらに税金を払うなんて税金の2重取りなのではと思われるかもしれませんが、
相続税は、財産の無償移転(相続を機にタダでもらったということ)に対して税金がかかり、
所得税や住民税は、財産を売った時に儲けに対してかかる税金なのです(理屈はですが)。
買った値段は引き継ぐ
不動産を売却した場合には、
(売れた値段 - 買った値段 - 売った時の経費)、つまり不動産の売買をして儲けが出た場合にかかる税金です。
これに対して、20.315%(タイミングにより税率は異なる場合あり)ほどの税金がかかります。
ところでこの時に引くことができる買った値段ですが、相続でもらった場合にはご自分で買っていないはずですが買った値段=0円ではありません。
買った値段は、故人様が買ったときの値段を引継ぐことができます。
故人様が1,000万円で購入していた場合には、買った値段は1,000万円です。
ただし、ご自分で買っていないので、この金額がわからなくなりがちなので十分注意しましょう。
また買った時期ですが、相続してから売却までの期間ではありません。
これも、故人様が買った時期を引継ぐことができます。
こちらについては、法務局で登記簿謄本を取るとわかります。
特例との関係
自宅を売った場合の3,000万円の特別控除
売った不動産が自宅である場合には、3,000万円の特別控除を受けることができるので、税負担を少なくすることができます。
ただしこの特例を使うには、不動産を引継いだ方が故人様と生前から同居していないと使えません。
故人様の自宅だったという理由では、この特例は使えません。
この特例は、その不動産を所有している方の自宅であるならば使える特例です。
また、同居していることが前提になるので、小規模宅地等の特例も使えますが、申告期限前までに売却してしまうと、小規模宅地等の特例は受けることができなくなるのでご注意ください。
空き家の3,000万円控除
相続した不動産が空き家になるようであった場合には、空き家の3,000万円控除を使うことができる可能性があります。
ただし、建物が昭和56年5月31日以前に建築された戸建て住宅にしか使えません。
マンションのような集合住宅は使うことができません。
また、この特例を使う場合には相続してから3年以内(具体的には相続から3年たった年の12/31まで)に売却する必要があります。
取得費加算の特例
故人様から相続を受けた際に、相続税を納めていれば相続税の取得費加算の特例を使うことができます。
こちらも、相続が起きてから3年10カ月以内に売却と期限が決められています。
ただし、上記の空き家の3,000万円控除との併用はできません。
<大事なこと>
相続で財産をもらい相続税を納めたとしても、その財産を売却すると別途税金がかかります。
残念ながら二重課税ではないのです。どちらも高額納税になる可能性があるので、気持ちはわかるのですが…
<昨日の出来事>
昨日は自分の10月の月次決算をしつつ振り返りを。プライベートは充実していた反面、仕事している日が少なく反省しました。
■広瀬純一のプロフィール
■単発相談 対面・オンライン相談 メール相談
■個人のお客様 税務顧問 個人の確定申告
■法人のお客様 税務顧問 年1決算プラン(法人様向け)
■相続税の申告・ご相談 相続税の申告 相続税の試算
■税務調査・無申告対応 税務調査対応 無申告対応