消費税は還付になる場合もあります

消費税は赤字であっても払うことがあり、しかも納税額が高額になりがちです。
ただし、場合によっては消費税が戻ってくるレアケースもあります。

中間納税が多かった

消費税は申告の際に、年間(年度内)の納付する金額を計算します。

原則課税であれば、預かった消費税から払った消費税を計算し、
簡易課税であれば、預かった消費税の数%をかけて消費税を計算します。

それとは別に前年(前年度)の納税額に応じて、今年(今年度)の消費税を納める必要があります。
中間納税がない方もいれば、年1回(半年に1回)、年3回(3か月に1回)、年11回(毎月)と前年の納税額に応じて変わります。

そして確定申告時には実際に納める金額と、中間納税で納めた消費税の精算をします。

仮に申告時に計算した消費税が100万円であったが、中間納税した消費税が150万円であれば、
50万円多く納めていることになるので、50万円が戻ってきます。

ただしこのような場合、申告時には還付にはなっていますが年間(年度内)では納税しています。
実務上もよくある話です。

払った消費税の方が大きい

消費税を計算する際には、預かった消費税と払った消費税の差額で計算します。
つまり、お客様から預かった消費税より自分が外部に支払った消費税の方が大きければ、消費税が戻ってくることになります。

輸出をしている

消費税が還付される一つの例で、お客様から預かった消費税が少ないケースが考えられ、ひとつに輸入での取引が多いケースです。

日本で販売するのとは違い、売上先が海外で輸出をしている場合は消費税の扱いが変わります。
日本で消費されるモノには消費税はかかりますが、海外で消費されるモノには消費税はかかりません(細かいことをいうと、非課税でなく免税です)。

日本で仕入れたもの11,000円(うち消費税1,000円)を、海外のお客様に20,000円(消費税なし)で販売すれば、
預かった消費税0円 - 払った消費税1,000円 = -1,000円
ということになり、消費税の申告をすれば1,000円戻ってきます。

ただし、海外のお客様には日本の消費税10%を請求しないように注意しましょう。
海外のお客様は日本の消費税を負担する義務はありませんので。

大きな設備投資をした

もう一つは、払った消費税の方が大きくなるケースで、大きな設備投資をした場合です。

大きな設備を導入した場合は、所得税や法人税で経費にするには何年かに分けて経費にしなければならないのですが、消費税は払った消費税は一気に経費にできます。

1億1千万円(うち消費税1,000万円)の鉄筋での事務所を建てた場合、
所得税や消費税では50年間に分けて経費にする必要がありますが(年間200万円か220万円)、
消費税では払った消費税1,000万円を一気に引くことができます。

消費税還付の場合の注意点

消費税を受けるためには、必ず原則課税である必要があります。

簡易課税であれば、預かった消費税の数%は納める必要があるので、還付は絶対にありません。
還付をしようとする年(年度)が簡易課税になってしまうようだったら、簡易課税をやめる届出書の事前提出が必要です。

また、消費税がそもそも免税でないかもチェックが必要です。

免税であれば消費税を納める義務はありませんが、計算した結果が還付であっても還付は受けることができません。

普段から原則課税でしか消費税の申告しかできない場合は問題ありません。

一方で、消費税が免税であるが消費税の還付を受けたい場合には、特殊な届出書を出したり、数年間の消費税のシュミレーションをしておく必要があります。

その年だけは消費税が戻ってきても、トータルではマイナスになってしまうこともありますので、慎重に判断をしましょう。

<この記事での考え>
消費税は納税が高額になりがちですが、還付になるというレアケースを紹介しました。
ただし、免税事業者が還付を受けようとすると、専門的な知識が必要になりますので十分注意しましょう。


■広瀬純一税理士事務所のサービスメニュー■
■広瀬純一のプロフィール
■単発相談   対面・オンライン相談 メール相談
■個人のお客様   税務顧問 個人の確定申告
■法人のお客様   税務顧問 年1決算プラン(法人様向け)
■相続税の申告・ご相談   相続税の申告 相続税の試算
■税務調査・無申告対応   税務調査対応 無申告対応