相続税の税理士試験と実務、実務の方が圧倒的に大変

相続税の税理士試験も難しい(私も3回落ちてます)ですが、やはり実務の方が大変です。

試験に受かっても勉強をし続けないと、実務が大変になってしまうのが相続税の実務の特徴ではないでしょうか。

どのようなところが大変か、何点かあげてみたいと思います。


(毎回、何かしらで悩む事案があります)

相続人(家系図がわかっている)

税理士試験の場合にはすでに家系図ができていて、そこから相続人を判定することになります。

実務の場合には、家系図を作ることから始まります。

この家系図を作るのがとても大変です。

普段は見ることのない戸籍謄本を読み解き家系図を作っていくわけですが、

まあ初めて見たときは、何をどう見たらいいかさっぱりわからないものです。

古いものになると、なんて書いてあるかすらわかりません。

そもそも、戸籍謄本をさかのぼって入手することも結構大変です。

私も始めて相続税を担当させてもらったときも、戸籍を見ただけでイヤになってました。

現在ではきちんと読み解くことができるようになりましたが、けっこう勉強しました。

家系図がすでに完成している税理士試験、今思い出すととてもありがたいです。

一番大変なところが完成しているわけですから。

土地の評価(図面が出来上がっている)

土地の評価についても、税理士試験の場合には図面が出来上がっているので、それに合わせて評価すれば答えが出ます。

実務では図面探しから始まります。

きちんとした測量図が存在してくれれば助かるのですが、ほとんどがないです。

出てくる可能性は3割くらいでしょうか(私の感覚ですが)・・・

測量図がなければ、公図・建物の図面・住宅地図・道路台帳・建築計画概要書などありとあらゆる書類を取り寄せて、適切なものを探すところから始めなければなりません。

100%正しくない図面でも、きちんと理由付けして評価していかなければなりません。

税理士試験だと答えは一つですが、実務だと答えがひとつではありません。

その中から自分が責任をもって選択する必要があります。

答えが100%決まっている税理士試験の方が、やはり楽です。

実務は日々勉強が必要

実務で相続税を行う場合の特徴は、必ずと言っていいほどどうすべきかわからない事案がひとつは出てくることです。

その都度調べる必要があります。場合によっては答えが出てこないことも結構あります。

教科書通りに物事が進みづらいのが相続税の実務の特徴かなと思っています。

また、相続税のルールだけでなく、民法をはじめ建築基準法や都市計画法などの別の法律についてのある程度の知識が必要になります。

申告の資料集めにしても、コツが必要だったりします。

段取りを間違えると、ものすごいタイムロスをしてしまうことがあります。

そもそも、何をどこで集めていいのかすらわかりません。

資料収集も相当に本を読んで勉強しています。

相続税の試験に合格しても、勉強をし続けないと実務では通用しなくなってしまうのが、相続税の実務ではないでしょうか。


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