医療費控除のよくある勘違い

「確定申告で医療費控除をすれば、税金が戻ってくる」とはいうものの、お金が無限大に戻ってくるわけではありません。


(医療費控除より大事だと思います)

医療費控除で税金が戻ってくる条件

確定申告で医療費控除すれば、確かに税金が戻ってくるためには、条件があります。

それは、「すでに税金(所得税)を納めている」ことです。

・給料から所得税が天引きされている
・年金から所得税が天引きされている

ことが絶対条件です。

所得税を納めているかどうかは、給与や年金の源泉徴収票というものに記載されています。
源泉所得税という欄が、これにあたります。

医療費控除というのは、すでに収めた所得税があって、かつ、確定申告で医療費控除を使えば税金が安くなるから、税金が戻ってくる仕組みです。

源泉所得税の欄が0円であれば、税金を納めていないことから、どんなに医療費があっても税金は1円も戻ってきません。

まずは、自分が税金を納めているかどうかを確認しておきましょう。
確定申告をするのは、手間も時間もかかります(医療費控除は特に)。

手間の割に戻りが少ないようだったら、確定申告しないもの一つの手です。
もちろん、確定申告の義務がないことが前提ですが。

高額療養費制度

医療費控除というものは、自分が払った税金の範囲内でお金が戻ってきます。

1円も納税がない場合には、いくら医療費があっても税金の戻りはありません。
医療費が多ければ多いほど、お金がもらえるというわけではないのです。

税金上はこれ以上の優遇措置はありませんが、社会保険の制度には高額療養費制度というものがあります。

1か月の医療費がある一定額(収入により異なります)を超えた場合には、超えた分はあとでもらうことができます。

また、同一月、同一の医療機関で、「健康保険限度額適用認定証」を提示すれば、限度額までの支払になります。この手続きは医療費がかかりそうだったら、医療機関でサポートしてくれることが多いです。

この制度があるおかげで、一定以上の医療費の負担はなくなります。

医療費控除は、税金上は払った金額以上の戻りはないため、納税が少額で医療費が多い方にとっては冷たい制度に感じるかもしれませんが、社会保険の制度もあり、こちらで優遇されている可能性はあります。

期限は3/15ではありません

確定申告はすべての人がやらねばいけないものではありません。

・サラリーマンであれば、会社で年末調整をしている
・年金をもらっている人であれば、収入が年間400万円以下

であれば、確定申告不要の可能性が高いです(他の収入がなければですが)。

この場合で、医療費控除だけを受けるのであれば、期限は3/15ではありません。
5年間という時間的な猶予があります。

令和5年分の確定申告の期限は、令和6年3月15日ですが、
医療費控除を受けるなどの還付申告の場合、令和10年12月31日までです。

確定申告は慌ててやらねばならない印象はありますが、意外にも時間的な猶予はあるのです。

<この記事の考え>
医療費の割に税金の戻りが少ないとの声をいただいたので記事にしてみました。
医療費での税金での優遇措置は少なくても、社会保険上の制度で優遇されている可能性があります。
税金だけでなく、社会保険の優遇制度も知っておくといいです。