結婚してから20年経過をしていれば、配偶者に自宅を贈与すると贈与税が安くなる特例があります。
場合によっては、相続税対策としても有効に使うことができます。
贈与税の配偶者控除とは
贈与税の配偶者控除とは、結婚をして20年経過しているようであった場合に、
自宅(土地・建物)を配偶者に贈与した場合には、自宅の土地・建物の評価額から、
最大2,000万円ほど減額することができます。
そのため、よほどの高級住宅でない限り、無税、または比較的安価な贈与税で、自宅を配偶者に贈与することができます。
贈与税の基礎控除額110万円も併用して使えるので、併せて2,110万円まで贈与税がかかりません。
また、贈与をしてから3年(7年)以内に贈与をした人が亡くなった場合、
通常は贈与でもらっていたとしても、贈与でもらった自宅も相続税の対象となってしまいますが、
最大2,000万円減額した分については、相続税の加算の対象外となります。
土地建物の評価額が1,500万円であれば、
贈与税は、2,000万円以下であるため、贈与税は0円。
万が一、贈与をしてから3年(7年)以内に贈与をした人が亡くなった場合であっても、
相続税の対象となる金額は、0円です。
贈与税の配偶者控除の手間とコスト
贈与税の配偶者控除ですが、贈与税は優遇されますが、
たとえ贈与税が0円になったとしても、以下のような手間やコストがかかります。
申告は必要
贈与税が0円であったとしても、贈与税の申告は必要です。
登記費用が必要
不動産の贈与を受けた後、名義変更をしますが、その際には登録免許税という税金を納めなければなりません。
登録免許税は、固定資産税評価額の2%ほどかかります。
相続での名義変更であれば、固定資産税評価額の0.4%であるため、若干割高になります。
なお、名義変更の手続きを司法書士に依頼する場合には、別途司法書士報酬もかかります。
不動産取得税がかかる
夫婦間の贈与であっても、不動産取得税がかかります。
不動産取得税は、固定資産税評価額の3%ほどかかります。
なお、相続での取得であれば、不動産取得税はかかりません。
贈与税の配偶者控除のメリット
贈与税の配偶者控除は、登録免許税や不動産取得税といってコストはかかるものの、
贈与税自体は、無税または少ない負担の贈与税で、財産が移転できます。
そのため、自宅を贈与することによって、
・財産を減らすことができる
・不動産を複数持っている場合には、小規模宅地等の特例が自宅以外で使える
ことから、相続税の負担を減らすことができます。
また、自宅をお持ちの方が中小企業の経営者で、会社の借入金に対して経営者保障を行っている場合には、自宅を配偶者に贈与することによって、万が一の時に自宅を守ることもできます。
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