お金を借りるときに必要な決算書一式とは

金融機関からお金を借りるときや、お金を借りている会社の決算が終わったら、必ず決算書の提出を求められます。その時に必要な決算書一式とは何か、まとめてみました。

決算書だけでは何もわからない

会社の業績がわかる書類は、決算報告書です。社長もこの書類だけは必ずチェックしていると思われます。

ただし、決算報告書はあくまですべての数字を単純に集計しただけのものであって、詳しい中身はわかりません。

特に貸借対照表は科目内訳書がないと全くわかりません。
・現金預金の中で、実際使えるのはいくらか(定期預金はほぼ使えないので)
・土地○○円と表示されているけど、実際いくらくらいの価値があるのか
(貸借対照表には当時の買った値段が表示されているのみ)
・売掛金の中に不良債権がないか
・借入金はどこから借りているか
などと、数字を見ただけではわからないものです。

見た目は資産超過でも、実質は債務超過でないかなどということもあるからです。

また本来赤字であるにも関わらず、黒字に見せかけているかどうかも、決算書以外の書類でわかることも結構あります。

金融機関が求める決算書一式とは

勘定科目内訳明細書

その名のとおり、各勘定科目の内訳を記載したものです。
決算報告書はこれがないと、ほぼ分析はできません。

勘定科目内訳明細書はとても重要です

固定資産台帳

固定資産台帳は、建物や機械などの勘定科目の内訳書みたいなものです。

具体的には、そのような固定資産を持っていて、いついくらで買って、耐用年数は何年で、減価償却費はいくら計上できて、そのうちいくら計上したかなどが記載されています。

設備資金でお金を借りたときには、その設備がのっているかどうか必ずチェックされます。
資金使途には気をつけましょう。

法人税の申告書

決算報告書は、会社の業績を表すものですが、法人税の申告書は税金を計算するためのものです。

法人税の申告書がなぜ必要になるかというと、
・過去の赤字がどれくらい残っているか
・修正申告をしていないか
・税金の滞納がないか
といったことがわかります。

税務調査で、修正申告があった場合には信頼関係の維持のために、必ず金融機関に伝えたほうがいいですね。そもそも伝えなくても、次の提出時にわかってしまいます。

受信通知

申告書を書面で提出している場合には、税務署で申告書の控えに収受印を押してもらうことができます。

一方で電子申告をしている場合には、申告書の控えを見ただけでは、提出しているかどうかわかりません。提出した証拠となるのが、受信通知という書類です。

電子申告の場合は、受信通知が収受印の代わりとなります。

追加書類を求められる場合

金融機関から決算書一式を求められた場合、上記のものが必要となりますが、不自然な勘定科目がある場合、さらに追加の書類を求められることがあります。

追加書類を求められやすい勘定科目は、「関係会社貸付金」です。

このような勘定科目が決算書に載っていると嫌われます

本来金融機関はその会社のためにお金を融資しています。
ところが、関係会社などに貸付金があると、貸したお金が違う会社に行ってしまうことを警戒します。関係会社がお金を借りられないから、お金を借りられる会社で融資を受けて、そのお金を回そうとしていると考えます。

そのような場合、追加で関係会社の決算書一式も求められる場合があります。
単純に提出する書類が2倍になってしまいます。

つまり、決算書をただ黒字にだけすればいいというわけではないのです。
決算書以外の提出書類もきれいでなければ、ならないわけです。