退職金をもらっても、基本的には確定申告は必要ありません。
退職金の税金と確定申告のことについてまとめてみました。
退職金の税金
退職金の税金の計算方法は以下のとおりになります。
(退職金の金額 - 退職所得控除額)÷ 2 × 税率
退職所得控除額は、勤務年数によって以下のように決まっています。
(勤務期間の月単位の端数は1年に切り上げます)
20年以上 | 40万円 × 勤務年数 |
20年超 | 70万円 × (勤務年数 - 20年) + 800万円 |
勤務期間が29年8カ月(30年とカウントします)の場合の退職所得控除額は、
70万円 × (30年 - 20年) + 800万円 = 1,500万円 となります。
29年8カ月勤務していた場合には、1,500万円以上の退職金をもらわなければ税金はかかりません。
2,000万円の退職金(29年8カ月勤務)の場合の退職金には、
所得税(2,000万円 - 1,500万円) ÷ 2 × 10% - 97,500円 = 152,500円
住民税(2,000万円 - 1,500万円) ÷ 2 × 10% = 250,000円
ほどの税金がかかります。
退職金は収入に比較して、かなり税金が優遇されています。
退職所得の受給に関する申告書
退職金に対する税金の計算方法は、若干特殊な面があります。
所得税や住民税の場合には、他の収入と合算したうえで税率を掛けて計算しますが、退職金については、他の収入とは合算しないで税金を計算します。
そのため、退職金に関する税金というのは、もらった時点で確定します。
また、退職金はもらう時点で「退職所得の受給に関する申告書」というものを提出すれば、支給先で退職金に関する税金を精算してくれます。そのため、原則的には確定申告は不要です。
ちなみに、退職所得の受給に関する申告書の申告書を提出しない場合には、支給額に20.42%ほどの所得税を天引きされます(プラス、後日住民税)。
2,000万円の退職金であれば、408万円ほどの所得税が天引きされてしまいます。そのため、退職所得の受給に関する申告書は必ず提出しておきましょう。
確定申告した方がいいケース
退職所得の受給に関する申告書を出さなかった場合
退職所得の受給に関する申告書を提出しない場合には、かなりの金額の税金が天引きされますが、確定申告をすることで、精算することができます。
上記の例であれば、408万円から15万円に税金が減るので、393万円ほどの税金が戻ってきます。
退職所得の受給に関する申告書を提出するのが、もちろん一番いいのですが。
年末調整未済の給料がある場合
退職金をもらうということは、それまでもらっていた給料の年末調整が終わっていないケースが多いです。
給料に関する所得税の天引きは、通常は若干多めに引かれていているので、確定申告をした方が有利になります。
また、年末調整がないため生命保険料控除などを受けたい場合には確定申告が必要です。
なお、退職後他の会社に再就職して年末調整を受ける場合には、退職前の源泉徴収票を渡すことで確定申告しないですみます。
他の収入が少ない場合
退職金の税金は他の収入と合算しないで税金を計算するので、基本的にはこの金額で確定しますが、この金額よりも少なくなるケースもあります。
それは、他の収入が少なくて、各種所得控除を受けきれなかった場合です。
所得控除は給与や事業所得などと合算したものから優先的に引きますが、引ききれなかった場合には、退職所得から引くことができます。
この場合には、退職金で天引きされた税金よりさらに少なくなり、還付を受けることができます。
<大事なこと>
退職金が原因で確定申告する必要は通常ありませんが、確定申告をした方が有利になるケースもあります。
<昨日の出来事>
午前中はMFのエクセルでの取り込みの研究、意外と簡単でした。
午後はオンラインセミナーの受講、やっぱりMacがほしくなりました。
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