相続税では手元に残っているお金も申告が必要です

相続税の申告は、預金だけでなく手元に残っている現金も申告が必要です。
引出しておけば大丈夫…、とはなりません。

現金の残高が把握しにくい理由

相続財産といえば、預貯金、不動産、株などの有価証券あたりが思い浮かぶかと思われますが、手元に残っている現金も対象になります。

そして、この現金残高が相続税の計算をする上で、とても悩ましい要素です。

・お金を所持していた方がその時点ではいない
・現金の残高を公的に証明してくれる人がいない
・履歴がない
・現金をどれくらい置いておくのかはその人次第である
からです。

現金残高は亡くなった方 or 亡くなった方のお金を管理していた方でないとわかりません。

預金から推測する

誰も把握していなければ、預金の履歴から推測する必要があります。

相続税の申告の際は、預金の履歴を確認する必要があります

もちろん1円単位で合わせる必要はありませんが、ある程度のつじつまが合っている必要はあります。

多額のお金を引き出している、少額であっても短期間に頻繁に引き出している個所を中心にチェックしておきましょう。

ところで、お金を引き出すというのは次のように考えられます。

使ってしまっている

生活しているので、当然お金は消費します。
医療費に使った、旅行へ行った、生活費をいっぺんに引き出したなどの合理的な理由があれば、全くの問題はありません。
使い道が問題になるのではなく、お金が残っていたかどうかが問題なのです。

別の財産に変わっている

お金の使い道は、相続税の申告には問題ないのですが、、別の財産に変わっている(何か買った)場合には注意が必要です。
場合によっては、その財産を相続税の対象になる場合があるかもしれないからです。
もちろん、その財産がすでに計上されていて整合性がとれていれば、それで大丈夫です。

手元に残っている

上記の2つはお金を使ってしまって、現金という形はなくなってしまっていますが、引き出したからといってお金を使っているとは限りません。

現金という形で残っていることもあります。

ただお金をおろすだけではダメなのは、こういう理由です。

よくあるのが、葬儀の費用の準備のためにまとまったお金を用意しておくことです。
このお金は現金として相続財産として取り扱われます。

当然ながら、亡くなった時点ではこのお金が残っているからです。
その代わりに、あとで使った葬儀の費用は相続税の財産から引くことができます。

現金であっても、相続税で申告しなければならないのは、亡くなった時点での財産です。

お金を管理する際は帳簿付けを

ところで亡くなる直前になると、お金の管理はできなくなる可能性が高いので、身内の方が代わりにお金の管理をすることがあるとは思いますが、その際の帳簿付けは必ず行った方がいいでしょう。

相続税の申告の時にも役立ちますが、お金の管理を誤ると相続人ともめる原因にもなるからです。

現実には、相続税で申告したお金より、実際にもらうお金が少なくなることが圧倒的に多いです。

・初七日や四十九日の費用
・名義変更に必要な書類
・相続税の申告に必要な費用
・位牌やお墓の購入費用
などのお金を使ったのちに、精算することが多いからです。

このような費用は、相続税の申告でも引くことができないことから、書類上にも現れません。

・実際にお金をどのように使ったのか
・費用負担はどうすべきか
といった相続税の申告で関係ないことであっても大事だったりします。

<この記事の考え>
現金の残高は把握しづらいことから、相続税の調査でも問題になることがあります。
また、他人のお金を管理する際にはきちんと何に使ったかを記録しておくことで、相続の際にも、相続税の申告の際にも役立ちます。


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