売上が1,000~5,000万円の場合には、2割特例が使えないものの、
原則課税のほかに簡易課税を選択することができます。
ただし、2割特例と違い、事前届出制であるためあらかじめ自分がどの程度納税がありそうか、あらかじめ見積もっておく必要があります。
(事前届出制のため、単なる出し忘れはNGです)
事前届出制
簡易課税か原則課税かどちらが有利であるかを予測するのは意外と難しいです。
なぜならば、簡易課税は事前届出制のため、新たな年(事業年度)が始まる前に提出する必要があるからです。
つまり、業績を見てどっちがいいかを選ぶことができません。
あらかじめ、業績を予測するとともに、設備投資の予定を考えておく必要があります。
万が一予測が大きく外れた場合でも、計算方法を切り替えることができません。
消費税を見積もるには
消費税の納税がどれくらいあるかを見積もるには、業績を予測する必要があります。
個人であれば、
・今年の実績を基にする(1~6月までの実績値×2)
・今年の実績からきちんと見積もる(1~7月まで実績、以降月ごとの予測を立てる)
・前年の実績を使用する
といった方法で見積もったうえで消費税の納税額を見積もってみましょう
(8%の取引が多い場合は、多少やり方が異なります)。
簡易課税を見積もるには
簡易課税であれば、売上をもとに計算します。
予測した売上に、預かった消費税に次の割合をかけたものが予測される消費税です。
預った消費税は、税込みの売上に、10/110をかけて計算しましょう。
第1種事業 | 10% | 第4種事業 | 40% |
第2種事業 | 20% | 第5種事業 | 50% |
第3種事業 | 30% | 第6種事業 | 60% |
例えば、売上が880万円(第5種事業)であれば、
預った消費税は、880万円 × 10/110 = 80万円となり、
実際に納付する消費税は、80万円 × 50% = 40万円と予想されます。
原則課税を見積もるには
原則課税を見積もるには、予測した売上から消費税のかかる経費を引いていって、残りの利益に10/110をかければ、おおまかな納税額が出ます。
設備投資があるならば、それも見積もっておきましょう。
消費税がかかる経費は、給与・保険料・租税公課・減価償却費を除いたものを計算しておけば十分でしょう(実際にはもうちょっとありますが)。
簡易課税の方が有利なことが多い
私の感覚であれば、簡易課税の方が有利になることが圧倒的に多いです。
簡易課税で決められたみなし仕入率が比較的優遇されて設定されているように思われます。
原則課税が有利になる場合は、利益が少なめである場合か、よほど大きな設備投資がある場合のいずれかです。
また、原則課税で計算する場合には、記帳するのに大きな手間がかかります。
予想した税額がさほど変わらないのであれば、余計な手間を減らすために簡易課税にしておくのもアリでしょう。
そもそもの簡易課税制度の趣旨は、小規模事業者の事務負担をやわらげるために設けられたものですので。
<大事なこと>
もちろん絶対ではないですが、比較的簡易課税の方が有利になるケースの方が多いです。
設備投資もちょっと車を買い替えるくらいでは、さほど納税額が変わらなかったりします。
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