節税目的で法人を作るなら、ゴールを決めておくことも必要

法人を設立は、事業を拡大して会社を大きくしたいのか、節税が目的なのかによって進むべき方向性は違います。

どちらに向かうのかは、あらかじめ決めておきましょう。

方向性は2つ

法人は登記さえすれば、簡単に作ることができます。

ところで、自分が事業をやめるときというのも必ず来ます。

その時にどうするかによって、会社の方向性も大きく変わります。

もし今後会社を大きくして、第3者に売却したいであるとか、株式上場してさらに上を目指すのであれば、必要な役員報酬を取りつつも、ある程度会社に利益を残していくことになるでしょうか。必要な節税はするものの、どちらかというと法人税を払いつつ利益を蓄積していくべきでしょう。

ただし、節税目的で法人を設立することの方が多いのではないでしょうか。
(もちろん他にも理由があるでしょうが)

この時のゴールは、親族に譲るか会社を閉めるといったことになるでしょう。

この場合には、方向性を考えておく必要があります。

法人設立による節税

法人を利用しての節税は、

・給与所得控除が使える
・家族にも給与が払いやすくなる
・社宅が利用できる
・日当が出せる
・消費税が節税できる(インボイスでやりにくくなっていますが)
・自分の生命保険も経費にできる
・赤字が10年繰り越せる(個人は3年)

といったことがありますが、一番は個人の税率と法人の税率のメリットです。

個人であれば利益が大きくなればなるほど税率が上がるため、税負担が重くなります。

一方法人であれば、税率がほぼ一定です。

節税目的の場合にはこの税率を見ながら、利益を役員報酬と会社の利益に配分していきます。

そして、会社に残った財産は最終的には税金が大幅に優遇されている退職金として法人から個人にお金をもらうのが、おおまかな流れでしょうか。

節税目的の会社のゴール

このような節税目的での会社のゴールで大事なことは、退職金を払って会社を小さくできることが大事になります。

退職金もいくらでも払っていいわけではありません。

あまり給与を低く抑えすぎると、退職金を払える金額が少なくなってしまいます。

(最後の年の役員報酬月額)×役員在籍年数×功績倍率(社長だと2~3倍)

がひとつの目安とされています。

あまり、実際に払った金額と退職金の目安との差が大きくなると、税務署から指摘を受けてしまう可能性も出てきます。

一応、あまりにも高すぎる退職金は経費にはできないといったルールも存在します。

そしてその後は、家族に承継するか会社を閉めるケースが多いですが、場合によってはここでも税金が発生することもあります。

家族に承継する場合

家族に後継者がいる場合は、株を後継者に譲ることができますが、

贈与すれば贈与税が、相続であれば相続税の対象になります。

同じ会社を継続するにも、株を渡しただけで税金の対象になってしまいます。

株の価値は資本金の金額ではありません。

金額の計算は非常に難しいですが、会社の純資産の部に書いてある金額がひとつの目安です。

自分の会社の株も財産になります

退職金を払っても、会社が小さくならないと思わぬ税負担が発生します。

会社を閉めるケース

会社は登記をすればいつでも作れますが、会社を閉めなければいつまでたっても継続してしまいます。会社を閉めない限りは永久的に申告しなければなりません。その間も住民税の均等割の最低7万円は払い続ける必要があります(免除される場合もありますが)。

会社を閉めるときは、登記をすればいいだけではありません。

会社の財産をすべて換金して、会社でまだ払っていないもの(未払金や借入金)をすべて精算し、お金が起こった場合には、株主にすべて残りのお金を支払いすると、けっこうな手間がかかります。

株主に払ったお金も、金額によっては配当金扱いになり思わぬ税金がかかることもあります。

資本金500万円の会社を閉めて残ったお金が2,000万円だったとすれば、
500万円は資本金を返してもらうだけなので税金はかかりませんが、
残りの1,500万円は配当金として税金がかかります。
この配当は超過累進税率の対象で、もらえばもらうほど税率が上がってしまいます。

<大事なこと>
会社は作るのは簡単ですが、事業をやめるときには複雑な手続きや思わぬ税金が発生してしまうこともあります。