法人成りのデメリット

事業規模がある程度大きくなると、個人事業として行うより
法人化した方が、税金が安くなる傾向があります。
ただし、法人化した場合にもデメリットはあります。


こんなはずではなかったと、ならないように

赤字でも税金がかかる

個人であれば、赤字で所得がなかった場合には、
所得税、住民税、事業税といった税金は0円になります。

一方法人であれば、赤字であっても法人住民税の均等割という税金がかかり、
最低でも毎年7万円は納めなければなりません。

この住民税の均等割は、資本金の金額や従業員の数に応じて増減します。
また、都道府県や市区町村によって、金額が異なることがあります。
また複数事業所がある場合には、それぞれに法人住民税の均等割がかかります。

申告に手間がかかる

個人の確定申告であれば、申告書2~3枚くらいと、決算書4枚くらいで収まります。

一方法人であれば、
・申告書(少なくても10枚)
・決算書
・勘定科目内訳明細書(主に貸借対照表の勘定科目の金額の内訳を記載したもの)
・法人事業概況説明書(法人の状況や経営成績を記載したもの)
などといった書類の提出が必要になり、枚数も大幅に増えます。

そのため、税理士の顧問料も個人に比べて、上がる傾向にあります…

社会保険料が増える

法人成りで一番デメリットとなるのが、社会保険料の負担が大幅に増えることです。

個人であっても、従業員が5人以上でなければ、社会保険の加入義務はありませんが、
法人であれば、社会保険の加入は必須となります。
そして、従業員の社会保険料の半額を負担しなければなりません。

また、法人になると事業主自身も加入しなければなりません。
家族に支払っていた場合にも、社会保険の加入要件に該当すれば、
社会保険に加入しなければならないことになります。

個人事業の時に、所得1,000万円(家族に240万円給与を払った後の金額)であったため、
法人成りして、毎月80万円給与を取ることにした場合を考えてみます。

健康保険料は、個人で国民健康保険であれば、家族全体で最大でも110万円前後。
法人であれば、2人分・会社負担分込みで138万円(110万円+28万円)に増えます。
名目上は、半分は会社が負担することにはなっていますが、
自分の会社で負担しているだけなので、実質全額負担です。
ただし会社負担分は、経費にできます。

年金は、個人は国民年金のみであれば、家族2人で約40万円前後。
法人であれば、厚生年金に加入することになるため、
2人分・会社負担分込みで、186万(142万円+42万円)と大幅に増えます。
こちらも、半分は会社負担ですが、実質的には全額負担です。

短期的に見ると、厚生年金保険料で大きく損をしているようにも見えますが、
会社負担分の半分は、法定福利費として経費にすることができ、
自己負担分は、社会保険料控除として、個人の所得税・住民税を軽くすることができます。

また、厚生年金保険料を多く払うことで、将来に年金を多く受け取ることもできます。