個人事業主は本人はもちろん、家族にも給与を払っても、原則は経費にできません。
ところが青色申告を行うことによって、家族に給与を支払っても経費にすることが可能になります。
これによって、所得の分散を図って税金を安くすることもできます。
家族に給与を払うには
青色申告をしていれば,
3/15まで(開業時は2カ月以内)に青色事業専従者給与に関する届出書を提出することによって、
家族に給与を払っても経費にすることができます。
ただし、家族への給与には条件もあります。
・給与をもらう側は、15才以上
・給与をもらう側は、6カ月以上専任する(ダブルワークは基本厳しい)
・給与をもらう側は、学生や正社員である場合は×(本業でないので)
・届け出た金額の範囲内で、適正額を支給している(世間一般的であればOK)
・不動産賃貸業であれば、事業的規模である
ことです。
当然ながら、働いていることが前提です。
何もしてなければ、給与を払っても経費にできません。
青色専従者給与のメリット
青色専従者給与を支給する一番のメリットは、所得を分散することによって、
全体の税額を抑えることができることです。
例えば、所得が500万円、所得控除150万円(うち配偶者控除38万円)とすれば、
税額は約73万円になります。
一方で、青色専従者給与を150万円払った場合、
所得が350万円、所得控除112万円(配偶者控除は使えないため)となり、税額は約43万円。
給与をもらった人は、税額は7万円。
2人で約50万円となり、23万円ほど税金が安くなります。
青色専従者給与のデメリット
配偶者控除や扶養控除が使えない
青色専従者給与を払っている人を扶養していたとしても、
配偶者控除や扶養控除は使えなくなります。
配偶者控除が38万円ということを考えると、
月3万円×12か月のような給与の支払い方をしていると、
逆に損することになります。
事務作業が増える
従業員を雇い、給与を支払うことになると、源泉徴収作業が増えます。
源泉徴収作業とは、従業員に支払う給与から所得税を天引きして、
代わりに税務署に納めることです。
青色事業専従者へ支払う給与も源泉徴収の対象になるため、
元々従業員がいなかった場合、源泉徴収作業が増えることになります。
収入自体が増えるわけではない
節税が目的で家族に給与を払う場合、所得が分散するだけなので、
税金は安くなるものの、収入自体が増えるわけではありません。
事業の収入自体が少ない場合には、青色専従者給与を支払って節税するより、
別々の仕事をして、収入を増やすことも選択肢の一つです。
配偶者が、別の仕事で103万円稼いできた場合なら、配偶者控除38万円は使えます。
さらに配偶者の収入も入ってくるので、世帯の収入も増えます。
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