自宅兼事務所が持家だった場合の経費の落とし方

自宅で仕事をしている場合、自宅が賃貸であれば家賃の一部を経費にできますが、

自宅が持家である場合でも、同様に経費にすることができます。

ただし、一部注意しなければならないこともあります。

自宅で仕事している場合、家賃はどれくらい経費にできるのか?

仕事に使っている割合を求める

自宅兼事務所を経費にするには、自宅の中でどれくらいの割合が仕事で使っているかを求める必要があります。

仕事で使っている割合 = 仕事で使っている面積 ÷ 建物の床面積

といった計算をして割合を考える必要があります。

建物の床面積は、固定資産税の通知書や、法務局でとることができる建物の全部事項証明書に記載されています。

部屋の面積は、自宅の図面があればそちらを利用しますが、なければメジャーなどで簡単には買っていただければ大丈夫です。

仕事専用の部屋が20㎡、建物全体の床面積が80㎡であれば、
仕事で使っている割合は、25%(20㎡÷80㎡)ということになります。

仕事でもプライベートでも使っている部屋がある(専用部屋がない)ようであれば、仕事で使っている時間分だけしか経費にはできません。

仕事専用の部屋が20㎡(月曜日から金曜日まで1日8時間、週40時間働いている場合)、建物全体の床面積が80㎡であれば、

仕事で使っている面積は、20㎡ × 40時間/(7日×24時間) ≒ 4.8㎡ となり、
仕事で使っている割合は、6%(4.8㎡÷80㎡)ということになります。

経費にできるもの

仕事に使っている割合が決まったら、あとはそれに応じて経費にしていけば大丈夫です。

例えば、固定資産税が10万円(仕事に使っている割合25%)とすれば、
25,000円(10万円×25%)を経費にすることができます。

自宅事務所で経費にできるものは、
・固定資産税
・火災保険料
・地震保険料(地震保険料控除の使い方には注意)
・利息
・減価償却費
・管理料(マンションの場合)
などと、いったものが該当します。

地震保険料控除の注意点

持家の自宅事務所を経費にする際の注意点

減価償却費

自宅兼事務所の減価償却費を経費にすることもできます。

仕事に使っている割合をもとに計算していただければ問題ありません。

ただし、自宅を買ってからしばらくして仕事に使い始める場合には注意が必要です。

買った日~仕事に使い始めた日までは、旧定額法、耐用年数は通常の1.5倍で減価償却したものとして計算し、買った金額をベースに残りの金額を減価償却します。

建物(木造)の値段が2,000万円、10年たってから仕事に使い始めたとすると、

⑴買った日~仕事に使い始めた日までの減価償却した金額は、

2,000万円 × 90% × 0.031 × 10年 = 558万円
※0.031は33年(木造の耐用年数22年の1.5倍)の耐用年数です

となり、減価償却していない金額は

2,000万円 - 558万円 = 1,442万円 となります。

つまり、買った値段2,000万円(減価償却済558万円)をスタートとして、減価償却していきます。

途中から、減価償却費を計上すると計算が非常に複雑になります。

住宅ローン控除との関係

自宅を借入金で購入した場合の利息も経費計上することは可能ですが、住宅ローン控除を受けている場合には注意が必要です。

住宅ローン控除は、基本的には自宅部分のみにしか適用ができません。

自宅部分80%、事務所部分20%である場合には、

住宅ローン控除が受けることができるのは利息の80%部分のみで、残りの20%は経費にするといった取り扱いになってしまいます。

ただし、自宅部分が90%以上であれば住宅ローン控除を満額受けることができることになっています。

<大事なこと>
自宅事務所が持家である場合も、仕事に使っている割合をベースに経費計上していくことになります。ただし持家の場合には、地震保険料控除や住宅ローン控除などの取扱いにも十分配慮する必要があります。