アパート経営はある程度の規模がないと65万円控除できません

アパート経営をしていて、青色の届出を出して、かつ会計ソフトを使って帳簿を作ったとしても、ある程度の規模でない限りは、65万円(55万円)の控除はできず、10万円控除になります。

ある程度の規模は必要

アパート経営は、所得税の計算をする上で「不動産所得」に該当します。

不動産所得の場合には、事業として行われているかどうかによって、税金の計算のルールが異なります。

その取り扱いの一番の大きな違いが青色申告をした場合の特別控除です。
事業的規模→65万円(55万円)控除
事業的規模でない→10万円控除
といった違いがあります。

そこで問題になるのが、事業として行われているかどうかというあいまいな基準の解釈ですが、その基準になるものに、5棟10室基準というものがあります。

貸家であれば5棟、集合住宅であれば10室以上あれば事業として行われているとみなされ、65万円の控除を受けることができ、それ未満であれば事業的規模でないと考えられ10万円控除という扱いです。

5棟10室基準はあくまで目安であるので、これを満たさないからといって事業的規模でないとは言えないのですが(金額単価が極端に高い場合など)、まずはこれをベースに事業的規模かどうかを判断します。

ちなみに、貸地の場合には明確な規定はないのですが、貸地5=1室と判断することが多いです。

共有の場合は

アパートを共有で所有している場合には、全体の所得を計算して、持分の割合に応じて計算することになります。

この場合の5棟10室基準を考えるときに、共有割合を加味するかどうかですが、共有割合を加味する必要はありません。

例えば、夫婦で12室のアパートを2分の1ずつ所有している場合には、夫・妻ともに65万円の控除を受けることができます。

事業をやっている場合は

アパート経営をしつつ、事業もやっている場合にも65万円の控除は可能ですが、以下のような注意点があります。

・不動産所得、事業所得の両方で65万円まで(ダブルで65万円控除はできません)
・アパート経営が事業的規模でなくても65万円控除できる(事業+マンション1室といったケース)
・不動産所得から優先して引く

途中で基準を満たすようになった(or 満たさなくなった)

アパートを購入して年の途中から事業的規模になる場合や、アパートを売却して年の途中で事業的規模にならなくなるケースもあるかと思います。

この場合であっても、その年に関しては65万円の控除は可能です(月数で按分したりといったことは不要です)。

<大事なこと>
アパート経営での申告の場合、規模によっては65万円控除できない場合があるので気をつけましょう。もちろん、青色申告の届出を提出しておくことも忘れずに。

<昨日の出来事>
午前中に謄本の取得のために法務局へ。午後は確定申告の作成、提出を。


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