賃貸用アパートを壊した場合の注意点

賃貸用のアパートを取り壊した場合には、

・解体費用
・資産損失額(まだ、減価償却費として経費に計上していない部分)

の2つの経費が計上できますが状況により経費の取扱いが異なります。

建て替えた場合(賃貸用マンション→賃貸用マンション)

賃貸用のアパートが老朽化してしまった場合に、建て替えを行うことがあります。

その際に、業者に支払った解体費用は全額を不動産所得の経費にすることができます。

ところで、まだ耐用年数が残っていて、建物の簿価が残っている場合には、注意が必要です。

不動産所得が事業的規模で行われているか、事業的規模でないかによって取り扱いが異なります。

事業的規模で行われている場合は、全額が経費にすることができます。

事業的規模で行われていないときは、資産損失を引く前の金額が限度です。

つまり、資産損失が原因で赤字にすることはできません。

例えば、不動産所得(解体費用込み)が300万円、そのときの建物の簿価が400万円であった場合、

事業的規模の場合の不動産所得は、-100万円(300万円-400万円 赤字にできる)

事業的規模でない場合の不動産所得は、0円(300万円-300万円(300万円<400万円)=0)

となってしまいます。

土地を売却する場合

賃貸用のアパートを取り壊して、それと共にその敷地を売却することも考えられます。

この場合には、業者に支払う解体費用と資産損失額はいずれも不動産所得での経費にすることはできません。

その代わりに、譲渡所得の譲渡費用として、土地を売却するときに税金を計算する際の経費となります。

不動産売却時の税金を計算するときに、差し引いてもいい経費

(参考)自宅を取り壊して、賃貸用のアパートを建てる場合

「アパート経営を始めるにあたって、自宅を壊して賃貸用のアパートを建てる場合の解体費用はどうなるか?」という質問をよく受けます。

この場合には、アパート経営を始めるためにかかったものなので経費にすることができそうですが、この場合には一切経費にすることはできません。

あくまで、プライベートなものを取り壊していると取り扱われてしまい、かかった費用もプライベートのものとして取り扱われます。

<大事なこと>
同じ賃貸用のアパートを取り壊した場合でも、事業の規模や取り壊した目的によって取り扱いが大きく異なります。

またよく質問を受けることですが、アパート経営を始めるときの解体費用は一切経費になりません。