相続時精算課税制度を使う場合には、必ず期限までに届出書の提出が必要です。
相続時精算課税制度を使おうとした年に贈与者(あげた人)が亡くなった場合には、届出書の提出場所と期限が変わります。十分気をつけましょう。
相続時精算課税制度選択届出書の提出場所と提出期限
相続時精算課税制度を使うためには、相続時精算課税制度選択届出書を提出する必要があります。
この際の提出場所と提出期限ですが、
提出場所→財産をもらった方の申告する税務署
提出期限→贈与税の申告期限(翌年の3/15)
となっています。
以前は贈与税の申告書とともに提出することになっていましたが、令和6年から相続時精算課税制度にも基礎控除額ができたことから、相続時精算課税制度選択届出書のみを提出することが可能となっています。
届出書の提出前に贈与者が亡くなった場合
ところで、届出書の提出の提出前に、贈与者が先に亡くなってしまうケースもあります。
この場合であっても、贈与でもらったものについて相続時精算課税制度を受けることができます。
この場合には注意が必要で、届出書の提出場所と提出期限が変わります。
提出場所 → 故人様の住所地の税務署(相続税の申告書の提出する税務署です)
提出期限 → 贈与税の申告期限(3/15)と相続税の申告期限(亡くなった日から10カ月後)のどちらか早い日(相続税の申告書といっしょに出す)
といったことになります。
例えば、贈与者が亡くなったのが2/10であれば、翌年の3/15ではなく、相続税の申告期限の12/10まで早まります。
亡くなった日が5/15より前の場合には、提出期限が通常より早まりますので気をつけましょう。相続時精算課税制度を受けたいのであれば、必ず相続税の申告書といっしょに提出しましょう。
ちなみに、贈与税の申告は必要ありません。
相続税の申告しない場合でも変わる
この提出場所と提出期限が変わるのは、相続税の申告が不要になる場合であっても同様です。
間違えるとこんなケースも起こります。
父、母、子2人のケースを例に考えてみます。
父が子2人にそれぞれ110万円ずつ贈与をした後、2/10に亡くなったとします。この時点で財産が4,700万円(基礎控除額は4,800万円)であったとすれば、子2人がもらった財産について、12/10までに相続時精算課税制度を出すことで、110万円×2を相続税の計算を取り込まなくていいことになります。
結果として、相続税の申告は不要ということになります。
ところが、相続時精算課税制度を翌年3/15と勘違いした場合(本来は12/10)には、通常の贈与として扱われ、220万円を相続財産として加算しなければいけなくなります。
その場合には、4,920万円となってしまい相続税の申告自体も必要になってしまいます。
相続税の申告書を提出していれば税務署から出ていませんよといった指摘を受けて、提出すればOKと言ってくれる可能性もありますが(もちろん教えてくれない可能性の方が高いです)、申告書も出ていないと、誰も指摘してくれません。
レアケースかもしれませんが、十分気をつけましょう。
<大事なこと>
届出書を出す前に、贈与者が亡くなった場合でも相続時精算課税制度を使うことはできますが、提出先と提出期限が変わりますので、十分気をつけましょう。
<昨日の出来事>
午前中にお客様との打ち合わせで都内へ。
帰宅前にカフェで少しだけ仕事、買い物をして帰りました。
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