相続税の申告は、財産を分ける話し合いが決まるかどうかにかかわらず、
亡くなってから10か月以内に行う必要があります。
ただし、10か月以内に決まらなかった場合に提出する申告書は、通常は税金が高くなります。
分割がまとまらなくても申告は必要
相続税の申告は、亡くなってから10カ月以内に行う必要があります。
10カ月の間に、亡くなった方の財産をすべて確定して、誰がもらうかを決める必要があります。
ただし、話し合いがまとまらなかった場合であっても、10カ月以内に申告書の提出は必要です。
この場合には、相続人が、法定相続分で財産をもらったと仮定して
一度、相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続人が、配偶者と子2人であれば、
配偶者は2分の1、子は4分の1ずつ財産をもらったと仮定することになります。
ただし、この財産の分割が確定していない相続税の申告書、
相続税が安くなる特例が使えなくなるため、相続税が高くなる傾向にあります。
使えない特例
配偶者の税額軽減
亡くなった方の配偶者が財産をもらえば、
・1億6千万円
・全財産の2分の1(他の相続人がこの場合)
までは、相続税がかからないことになってはいますが、
話し合いがまとまらなければ、この特例が使うことができません。
亡くなった方の財産が1億円、相続人が配偶者と子2人とすれば、
話し合いがまとまっていれば、配偶者がすべてもらった場合、相続税がかかりません。
ただし、話し合いがまとまらなければ、配偶者340万円、子145万円ずつ、
合計で、630万円もの納税が必要になります。
小規模宅地等の特例
亡くなった方の自宅を、配偶者か同居している方がもらえば、
土地の値段が80%引きになります(330㎡まで、他にも要件はあり)。
他にも、亡くなった方が事業(不動産賃貸業を含む)を行っていれば、
その土地の値段も80%(一部50%)引きになる制度があります。
この制度も、話し合いがまとまらなければ、この特例を使えません。
物納や納税猶予
相続税を現金で納めすことができない場合、代わりに不動産などのモノで納めることができる場合がありますが、話し合いがまとまらなかった場合には、使えません。
また、納税猶予関係でも話し合いがまとまらなかった場合には、特例が使えません。
後日話し合いがまとまると、税金を返してもらえる
話し合いがまとまらないまま、やむを得ず申告書を提出する場合には、
「3年以内の分割見込書」という書類を提出しておく必要があります。
この書類を提出しておくことによって、後日話し合いがまとまった時に
配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例といった特例を使った申告書を提出する
ことができます。
その際に、税金を多く納めていれば、納めすぎた税金を返してもらうことができます。
10カ月以内に話し合いがまとまらないをまとめてみると、
・相続税を仮で納税しなくてはいけないので、自分で納税資金を用意する必要がある
(話し合いがまとまれば、もらった財産から納税ができる)
・相続税の申告書を複数提出する手間がかかる
・相続税の申告を税理士に依頼していれば、手数料が多くかかる
・3年以内であっても使えなくなる特例もある
・3年以内でまとまらなかったら、すべての特例が使えなくなるリスクがある
・親族であっても、弁護士に依頼をしなくてはならなくなる場合も
といった、リスクがあります。
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