遺産分割はやり直しができるかどうか

あまり好ましくはないですが、遺産分割協議がまとまったあとで、やっぱり内容を変更したいと思うケースはあります。

そういった場合には、法律上は相続人間の同意があれば、再度やり直しすることが可能です。

ただし、相続税や贈与税といった税金にも大きく影響しますので、慎重な判断が必要です(もちろんやり直ししないのが理想です)。

遺産分割のやり直しはできる

法律上は、遺産分割協議のやり直しというものは可能です。

もちろん、相続人間全員の同意は必要ですが、全員が遺産分割のやり直しに同意しているのであれば、いままでの内容を白紙にして、一から遺産分割協議をすることは可能です。

ただし、完全に一からできるというわけではなく、不動産や株など遺産分割後に第三者に売却や処分してしまったものを取り戻すことまではできません。

さらに登記が必要な不動産のようなもの場合で、すでに相続登記がされているもののような場合には、その所有権を抹消し(記録には残ります)、再度相続登記が必要になります。

そのため、やり直しがない場合に比べて、手間も費用もかかります。

あくまで、法律上やり直しができるというだけであって、やり直し自体しないというのが理想です。

相続税への影響

ところで、遺産分割をやり直すことは法律上可能ですが、税金の扱いは違います。

遺産分割のやり直しに関しては、相続でもらったとは取り扱わず、別件で贈与があったとされてしまいます(お金のやり取りがあれば所得税)。

つまり、遺産分割のやり直しは、法律上は白紙となりますが、税金計算上は白紙とはならず、最初の遺産分割で確定し、その後に贈与や売買があったとされてしまいます。

例えば、父、母、子がいて、父が亡くなったケースを考えてみます。

最初の遺産分割で子が土地(1,000万円分)の相続して相続登記したものの、やっぱり母に相続したことにした場合です。

法律上は、遺産分割のやり直しすることで、母が相続したことになります。

税金計算上は、単に子から母へ土地(1,000万円分)の贈与があったと考え、贈与税が231万円ほど発生してしまいます。

法律上と、税金計算上の取り扱いが違うので注意が必要です。

遺産分割が先か、税金の計算が先か

相続税の計算をするうえで特例が使えるかどうかで、大きく相続税の負担が変わってしまいます。

相続税の特例は、相続でもらった人が誰かという点によって、受けることができるか、できないかが決まることがあります。小規模宅地等の特例といったものが代表例です。

これを、小規模宅地等の特例が使えない方が取得した遺産分割を決めたあとで、他の方が取得していれば使えた、なんてことがあった場合にやり直しがきかないのです。

やり直しをしたとしても、小規模宅地等の特例は使えないので相続税の負担は大きくなりますし、かえって無駄な贈与税がかかってしまいます。

相続税の申告をしなければいけない場合には、遺産分割を決めてしまう前に、相続税の申告の方に目を向けておきましょう。

<昨日の出来事>
午前中はお客様との打ち合わせ。
午後は昨日に引き続き法人決算、ちょっと涼しかったのでランニング12km。

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