税理士が決算書のどこを見るか

税金関係の仕事以外で他の会社の決算書を見る機会があったのですが、「貸借対照表のどこを見ているのですか?」といったことを聞かれました。

詳しく見る場合は話が変わってきますが、「ぱっと見」だけで判断するのであればこのようなところを見ています。

ないことが理想なものがない

会社の決算書の中には、できるだけない方がいいものというものがあります。

代表例が、役員貸付金です。

これがあるだけで、どれだけ会社の決算がよかったとしてもかなりのマイナスイメージになってしまいます。

特に、金額が大きかったり、毎期増え続けているような状態は好ましくありません。

会社からお金を借りるのはNG

それ以外にも、仮払金、前払金、極端に大きい現金、仮受金といったものがないかもチェックしています。

できるだけ決算の時には0にしておきたいものです。
どうしてもやむを得ない場合に最低限といった具合に使用しましょう。
残ってしまった場合には、勘定科目内訳明細書に必ず記載しておきましょう。
きちんとした理由がなければ問題はありません。

いずれにせよ、上記の勘定科目があるだけで、
・お金の管理がきちんとできているのか?
・決算書自体正確なのか?
といった、不安を与えてしまうものです

現金預金

次に見るのが、会社の生命線であるお金です。

いくら利益が出ていたとしても、お金がなかったら会社は終わってしまうからです。

決算書に残っている残高を確認したうえで、平均の月商で割ってみてどれくらいの残高があるかを確認しています。

少なくとも2か月分は確保しておいてほしいものです。理想は6か月分です。

逆に、1か月分を切っている場合には自転車操業扱いと考えられてしまいます。万が一、売上のお金が入ってこなかった場合には、その時点でアウトだからです。

さてこのお金ですが、会社の利益を蓄積したものがベストですが、銀行から借りたものであっても、全く問題はありません。

むしろ、銀行からの借入金がなかったとしても、お金も少ない方が印象はよくありません。

・ギリギリで回している
・銀行からお金を借りれない会社

といったイメージを持ってしまいます。

純資産

貸借対照表の右下には純資産の部というものがあり、主に資本金というものと、繰越利益剰余金というものの2つのもので構成されています。

そのうち繰越利益剰余金とは、その会社が設立をしてから今までに税金を払ったうえで、どれくらいの利益を蓄積してきたかを表す数字です。

繰越利益剰余金を創業年数で割ると、その会社が平均してどれくらいの利益を上げてきたかがわかります。

ところで、この純資産を測る指標に、自己資本比率というものがありますが、この数値は全く見ていません。

自己資本比率をあげようとすると、銀行からの借り入れを控えてしまい、その結果お金が少ないといったことに陥ってしまうからです。

純資産の部を確認するときに大事なことは、金額を見ることです、%は無視しましょう。

自己資本比率を重視するより、現金残高の重視をしたほうがいい

<大事なこと>
「決算書のどこを見たらいいのですか」と質問を受けたので、まとめてみました。
あくまで、ぱっと見であることが前提ですが。
詳しく見るのであれば、決算書だけでなく勘定科目内訳明細書なども確認する必要があります。

<昨日の出来事>
昨日に引き続きオフ。
仕事ゼロというのも、なんだか落ち着かないです(そんなに仕事しているわけではないとは思うのですが)。


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