個人事業者であれば、年間納税額15万円以上ある場合には、その3分の1を7月と11月に納税することになっています。
ただし、やむを得ない理由がある場合には、予定納税の減額承認申請をすることによって納税負担を少なくすることができます。
その理由はどのようなものがあるのかまとめてみました。
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予定納税
予定納税とは、去年の納税額をベースに今年の分の所得税として、7月と11月に所得税の前払いをする手続きです。あくまで、仮の金額での前払いなので最終的には確定申告で精算します。
例えば、去年の納税額が90万円であれば、7月と11月に30万円ずつ納税します。
その後、今年の納税額が120万円であれば、
120万円 - 30万円×2 = 60万円を最終的に納税します。
ただし、あくまで去年の納税額がベースになるので、今年の納税額とのズレがあるのが通常です。
特に、納税額が少なくなると見込まれるときに、その予定納税の金額を減らすことができます。
上記同様、去年の納税額が90万円だと、7月と11月に30万円ずつの納税が必要ですが、
今年の納税が明らかに減る見込みの場合には、
・減額承認申請という手続きをする
・税務署に認めてもらう
ことができれば、その今年の納税見込額をベースに計算してもらうことができます。
今年の納税額の見込みが27万円である場合で認めてもらえれば、その3分の1の9万円の予定納税ですむことができます。
なお、最終的な納税額は変わりません。
このケースで実際の今年の納税額も27万円の場合には、
減額承認申請なし → 7,11月…30万円×2 確定申告時…33万円の還付(27万円−30万円×2)
減額承認申請あり → 7,11月…9万円×2 確定申告時…9万円(27万円−9万円×2)
となります。
ただし、減額承認申請を認めてもらうためには、何らかの理由が必要です。
去年より利益が減りそう
一番のメインの理由になるのは、業績の大きな変化です。去年より利益が減れば、その分今年の納税額も少なくなくなります。
これは、業績不振による場合以外にも、去年の業績が良すぎて、その結果予定納税の金額が大きくなった場合でもOKです。
・前年に特別大きな売上があった
・前年に給付金をもらった
・今年に大きな経費を払うことになった(大規模の修繕、退職金など)
といった理由でもOKです。
なお、個人事業を廃止した場合であっても、予定納税の義務はなくなりません。減額承認申請しなければ通常通りの納税が必要です。法人成りも同様ですので、その翌年には必ず予定納税の減額承認をしましょう。
また、利益が減るのであれば何らかの数字的な根拠は必要です。そのため、日々の経理業務も大事だったりします。
所得控除が去年より多い
所得税の納税額を決める要素は利益だけではありません。所得控除という、個々の生活要素によっても大きく変わります。
そのために、このような所得控除の増加を理由に減額承認申請もできます。
・今年に多額の医療費がかかった → 多額の医療費控除を受けることができる見込み
・扶養の人数が増える → 子どもが16才(19才)になる、親と一緒に同居するなど
・社会保険料が増える → 未納のものをまとめて支払った、子の国民年金を払ったなど
といった、理由もOKということになります。
ただし、減額承認申請は金額が大きな金額でなければ、さほど効果はありません。
どの程度効果があるかを計算し、確認してみましょう。たいして変わらないようでしたら、あえて提出する必要はありません。
実際私がお客様のもので提出したものであっても、満額→0円になるときがほとんどです。
(去年、家族の定額減税を受けるためといった例外はありましたが)
減額承認申請をしたからといいて、最終的な納税額は変わりませんので。
<昨日の出来事>
午前中は、ブログと今月提出の決算の最終チェック。
午後は、自分の月次決算と7月提出のお客様の決算作業を。
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