相続した不動産を共有で相続することは、将来権利関係が複雑になったり、売却しにくくなったりとデメリットが多くなってしまうので、おすすめはできません。
ただし、その不動産を速やかに売却することを考えている場合にかぎり、例外的に共有で相続したほうがメリットになる場合があります。
均等に分けることができる
相続財産の中に換金がしにくいものがあると、相続財産を均等に分けることができないというデメリットがあります。理由はいくらの値をつけてがいいかが、はっきりしないからです。
例えば不動産であれば、ひとつに相続税評価額というものがありますが、これも相続税を計算するためだけのものですし、そもそも時価の7~8割程度の数字とです。遺産分割にとっては、目安の数字でしかありません。
だからといって、実際に売却してみたらもっと高く売れるケースもあれば、相続税評価額にも満たなかったというケースもあります。
ただし、もう売却することまで決まってるのであれば、共有にするのも選択肢です。
共有にするデメリットの将来の権利関係も換金してお金を分けてしまえば関係ないですし、相続人同士で意思がそろっているのであれば問題はなくなります。
お金に変えてしまえば、平等に分けることができるので、売却が確定しているのであれば、選択肢にいれておきましょう。
特例のワクが大きくなる
不動産を売却した場合に特例がいくつか設けられていますが、金額に制限があります。
ただし、この金額はひとりあたりの金額なので、複数人で売却すれば特例も人数分受けることができます。
例えば、相続した不動産が空き家になってしまうことで、この不動産を売却することで3,000万円の特別控除を受けることができる可能性があります。
仮に要件を満たして受けることができる場合に、単独所有であれば3,000万円の控除ですが、2人の共有であれば、3,000万円ずつ受けることができるので、最大6,000万円の控除を受けることが可能です(ただし、3人以上だとひとり2,000万円まで)。
特例を考えるときはよく確認を
ただし、上記のように全員が特例を使える場合には有利に働きますが、逆に不利になるケースもあります。
例えば、父、母、子(別居・別生計)で父が亡くなり、その後母が子のもとで同居することにし、今までの自宅を売却することにします。その売却代金については平等に分けたいと考え、自宅を2分の1ずつ相続したとします。
この場合には、母は自宅の3,000万円の控除を受けることができますが、子は住んでいないので3,000万円の控除を受けることができません。
税金面では明らかに損してしまいます。
また、相続税の面では小規模宅地等の特例も子は使うことができず、こちらの面でも不利になります。
平等に分ける、特例もより有利に使えることができる反面、逆に特例が使えなくなるケースもありますので、相続後の売却をお考えの場合にはより注意を払いましょう。
<昨日の出来事>
午前中にブログ、届出書の作成。
午後は、お客様との打ち合わせでした。
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