家賃や保険料は支払ったときに経費にしているかと思われますが、このように取り扱うことができるのは、短期前払費用の特例という特例があるからです。
ただし、短期前払費用の特例は利益や税金を操作できるものではありません。
本来はサービスを受けたときの経費
経費を計上するためには、いつの経費にするかという問題があります。
通常は支払ったときに経費にしているケースが多いかと思われますが、原則的なルールはサービスを受けたときの経費になります。
事務所や工場などの家賃であれば、通常は前月末に翌月の分を支払う契約になっているケースが多いです。翌年1月分の家賃であれば、前年の12月に払うといった流れです。
この時家賃自体は12月に払っていますが、本来は翌年の1月分の家賃であり、サービスを受けるのは翌年の1月であることから経費にすることはできません。
また、火災保険や自動車保険といったものは1年分一括で支払うケースも多いですが、同様に保険期間に対応する分しか経費にできません。
自動車保険を6月に1年分(7月~翌年6月)を払ったとしても、本来経費にできるのは7月から12月までの分で、1月から6月までの分は翌年の経費になります。
このように計算するのが本来の原則的な形なのですが、実際このようなことをやっている方はほとんどいないと思われます。このように厳密に経費を計算しようとすると、あまりに複雑になってしまうことからです
このような計算の手間が省略できるよう、「短期前払費用の特例」という特例が設けられています。
短期前払費用の特例というルール
このような、翌年の経費であっても支払ったときに経費にできる短期前払費用の特例は、このような場合に限って認められます。
支払日から1年以内にサービスを受けるもの
短期前払費用の特例が認められるためには、長くても1年以内にサービスを受けるものに限られます。家賃や保険料、リース料といったものが該当します。
あくまで1年以内にサービスを受ける分が対象のため、2年分をまとめて支払ったりした場合には対象外になってしまいます。
家賃であっても契約が年払いになっていれば、年末に1年分払った場合には経費にできます。資金繰りが大変になってしまうのでおすすめはできませんが。
継続的なサービスであること
短期前払費用の特例は、継続的なサービスでなければいけません。
広告料や税理士報酬といったものは該当しません。
支払日までに支払いが完了している
短期前払費用の特例は、あくまで支払いがきちんと行われている場合に適用できます。
未払経理はNGです。
利益や税金の操作には利用できない
この短期前払費用の特例は、あくまで特例なので利用しないことも可能です。
であれば、経理で短期前払費用の特例を使ったり使わなかったりしたり、また支払日を操作して、利益操作して税金をコントロールできそうですがこれはできません。
この短期前払費用は「このルールを継続する」ことが大前提です。
あくまで、経理を簡略化するためのルールであって、利益や税金を操作するものではありません。
<大事なこと>
支払った日に経費にできるのは、このようなルールがあるからです。
支払日をコントロールして利益や税金の操作はできませんので、ご注意を。
<昨日の出来事>
午前中にお客様との打ち合わせとその確定申告の作業を進める。
午後は相続の仕事を少しだけ。
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