小規模企業共済は、スタートの時点を間違えると思わぬデメリットが生じる場合があります。
注意しておきたい点をまとめてみました。
初めは少額でも入っておくべき
小規模企業共済は、1,000円~70,000円(500円単位)の範囲内で自由に設定ができます。
もし入りたいのだけれど、お金に余裕がないのであれば、とりあえず最低金額の1,000円で加入しておきましょう。
少額とはいえ早めに加入しておいた方がいい理由は、廃業して退職金として一括受け取りを選択した場合の税金の非課税枠が、加入期間に関係があるからです。
退職金は、
加入期間が20年までであれば、40万円×勤務年数(小規模共済であれば加入期間)
加入期間が20年を超えた場合には、800万円+70万円×(勤務年数-20年)
までは税金はかかりません。
つまり、一括で受け取る場合には掛金の金額にかかわらず、加入期間が長ければ長いほど税金上は有利になります。
起業当初でお金に余裕がないようでも、最小金額の1,000円で加入しておくというのも一つの手段です。
加入条件を満たさなくなる場合にも注意
小規模企業共済は、その名の通り小規模事業者のための退職金制度です。
そのため、ある程度の規模になってしまうと加入できなくなってしまいます。
ひとつに従業員基準があります。
そのため、事業規模を大きくしたい場合には要注意です。
ただし、途中で加入条件を満たさなくなった場合であっても、解約になるわけでなく、今まで通り続けられます。
従業員を雇う予定であれば早めに加入しておきましょう。
気づいたら加入できなくなっていたなんてことのないようにしましょう。
掛金の減額には注意
掛金は途中での増額や減額はでいつでもできます。
いつでも変更できることがメリットに感じるかもしれませんが、掛金の減額はデメリットもあります。
減額部分は運用されない
まず、掛金を減額した場合には、減額した部分に関しては、今まで積み上げてきた分は運用されず放置されてしまうため、お金がこれ以上増えることはありません。
例えば、3万円で10年間掛金を払っていて、1万円に減額した場合には、
継続する1万円部分は運用は今まで通り運用されますが、
減額した2万円部分は、運用されませんのでこれ以上お金が増えません。もちろんお金を返してもらえるわけでもありません。
ただし、減額した後で再度増額した場合には、減額部分の運用が再開されます。
掛金の納付期間の算定からも除外
減額部分は納付期間にも算定されませんので、任意解約の場合には目減りする可能性が高くなります(ちなみに20年未満の任意解約は元本割れします)。
例えば、3万円で10年間掛金を払っていて、1万円に減額してさらに10年継続して任意解約した場合には、
減額した2万円部分については、掛金の納付期間が10年しかないため、元本割れします。
つまり、20年継続したからといっても途中で減額している場合には、元本割れが起きる可能性があります。
目先の節税だけに追われてしまうと、思わぬ形で損をしてしまう場合があるので注意しましょう。
<大事なこと>
小規模企業共済の掛金の減額は、デメリットもありますので、無理のない範囲で共済金を設定しましょう。
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