相続があった時にもめてほしくない、特定の人に財産を渡したい場合には、遺言書を作成するという方法があります。
遺言書の種類についてまとめてみるとともに、もめないための注意点をまとめてみました。
(秘密証書遺言はほとんど使われないので、記載しておりません)
Contents
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言書を直筆で作成(財産目録のみPC可)する方法です。
お金もかからず、書き直しも自由にできます。
内容自体も自分以外は秘密にすることができます。
ただし、
・書き方次第では無効
・見つけてもらえない可能性がある
・他の人に廃棄や偽造のリスクがある
といったことがあります。
また、亡くなった後に自筆証書遺言が見つかったとしても、家庭裁判所で検認が必要になります。
(検認前に開封してはいけません)
1~2カ月ほどの期間がかかります。
法務局で保管できる
以前はこの制度はありませんでしたが、現在は自筆証書遺言書保管制度というものがあります。
この制度を使うことによって、自筆証書遺言のデメリットをカバーできます。
・書き方次第では無効 → 法務局で自筆証書遺言の形式に適合しているかチェックしてくれる
・見つけてもらえない → 通知制度により、通知対象者に遺言の存在を知らせてくれる
・他の人に廃棄や偽造のリスクがある → 遺言書は法務局で保管
・検認の手間 → この制度を使えば検認は不要
自筆証書遺言の作成を考えているようだったら、こちらの制度を使った方がいいでしょう。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言書を作成してもらえる方法です。
プロが作るので、無効のリスクは通常はありません。
公証役場で保管されるため、他の人に廃棄や偽造のリスクはありません。
家庭裁判所の検認も必要ありません。
デメリットは手数料です。
手数料は財産に応じて金額が決まります。
それに加えて証人2人も必要です。
金銭的なデメリットがあるので、遺言書の変更や撤回が大変になります。
遺言書作成の注意点
存在は知らせておく
遺言書を作成しても見つからなかったとすれば、単にムダな作業になってしまいます。
将来相続人になるであろう方には、存在だけでも伝えておくべきでしょう。
普通の自筆証書遺言の場合には、紛失してしまうこともありますし、他の方に廃棄される心配もあります。
有効に使いたいのであれば、自筆証書遺言書保管制度を使って法務局で保管するか、公正証書遺言を作っておくべきでしょう。
遺産分割して相続税の申告をしたあとで、遺言書が見つかった場合には、すべて一からやり直しになってしまいます。
時折見直しておく
遺言書は一度作成したら、ほっておかずに時折見直しておいた方がいいでしょう。
財産の状況が変わってしまうこともあるからです。
・遺言書に書いてあった不動産が、売却されていてすでにない
・預金を引き継ぐことになっているが、残高がほとんど残っていない
相続でもめないために遺言書を作ったのに、かえってもめる原因になってしまいます。
遺留分にも配慮する
相続の際には遺留分というものがあり、最低限の遺産を受けとる権利があります。
(遺留分を行使するかどうかは自由)
遺留分は、相続分の2分の1です。
(相続人が親のみの場合3分の1、兄弟姉妹には遺留分はありません)
相続人が、配偶者1人、子2人の場合には、
相続分は、配偶者が1/2、子が1/4ずつとなり、遺留分は、配偶者が1/4、子が1/8ずつとなります。
遺留分を無視した遺言書は、相続があった時にもめる原因にもなりえます。
十分配慮しておきましょう。
<大事なこと>
遺言書についてまとめてみました。
相続の際にもめないために、作成の際には気をつけましょう。
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