消費税には節税方法はほとんどありません

消費税という税目は、計算の性質上節税方法はほとんどありません。

一定程度規模以下の事業者に対しての計算方法の特例が多少ある程度です。

原則課税のみの場合

消費税は本来、お客様から預かった消費税からご自分が払った消費税を差し引いて、残りを納めるといった仕組みです。

消費税の納税を減らすには、
・預かった消費税を減らす
・支払った消費税を増やす
といったことが考えられます。

預かった消費税を減らすには、売上を減らすしかなく本末転倒です。

ご自分が払う消費税を増やせば消費税の納税が減ることになりますが、あくまで国に納めるか、業者に払うかだけの違いです。

例えば、節税目的で車を330万円(うち消費税30万円)で購入すれば、確かに消費税の納税額は30万円減ることにはなりますが、購入したときに30万円を業者に消費税という形で払っていますので、結局のところ変わりません。

そのため、2割特例や簡易課税制度が使えない場合には、節税方法はないと思っていいです。

法人成りして、2年間免税(or2割特例)といった方法も消費税の節税としては可能ですが、
・かえってほかのお金の支出が大きくなる
・使える期間は限られる
・法人は閉鎖するまでずっと続く
・法人は閉鎖するときにも、手間とお金がかかる
といったデメリットもあります。

消費税節税目的だけでの法人成りは避けておきましょう。
法人成りでの消費税節税効果は、あくまで副産物だと思ってください。

売上高5,000万円以下の場合

2年前の売上高が5,000万円以下の場合には、簡易課税制度という計算方法が使えます。

消費税の簡易課税制度とは

ただし、税金を計算する直前で計算方法を選べるというわけではなく、事前届出制です。
基本的には、新たな年(事業年度)になる前までに決めなければいけません。
有利・不利の判定は事前に見積もって選んでおかなければなりません。

届出を出さなければ、簡易課税の方法で計算することはできません。

逆に、届出をしてしまっていて、要件を満たしてしまっていたら、原則課税で計算することもできません。

売上1,000万円以下の場合

2年前の売上が1,000万円以下の場合には、簡易課税に加えて2割特例という計算方法も使用できます。

簡易課税の届出を出しているかによって、
① 原則課税 or 2割特例
② 簡易課税 or 2割特例
という選択肢が取ることができます。

売上高5,000万円の時と同様に原則課税か簡易課税かを選ぶには、事前届出制ですが、2割特例に関しては計算結果で選ぶことができます。

原則課税 or 2割特例

比較的2割特例の方が有利になる傾向の方が多いですが、原則課税が有利になる場合もあります。

ただし、原則課税を選ぶ場合には、会計ソフトを入力する場合には入力の手間が非常にかかります。

白色申告や青色申告の10万円控除の場合で作成する帳簿も、一気に複雑になります。

あまり大差ないようだったら、あえて原則課税を選ばないというのもアリでしょう。

② 簡易課税 or 2割特例

簡易課税と2割特例を比較して、簡易課税が有利になるケースはほぼないです。

業種が卸売業のみの場合にしか、有利になることはありません。

ただし、2割特例は個人であれば令和8年までの特例です(現時点では)。

令和9年以降のために、早めに届出を出しておくのも一つの手です。

(大事なこと)
消費税の節税方法は、ほとんど存在しません。
特に原則課税でしか計算できない場合には、無いと思ってください。