中小企業でも配当はできますが、お勧めはできません

中小企業であっても、上場している会社同様に配当をすることはできます。
ただし、手間もかかるばかりか、税金も高くなる傾向にあり、あまりお勧めはできません。

配当とは

上場株などの株式投資を行っていると、配当をもらうことができます。
これは、会社に出資している代わりに、儲かったら出資してくれているお礼として、利益の一部を株主に配当というかたちで還元する、といった流れです。

中小企業であっても、利益を配当という形で株主に還元することができます。
ただし、ほとんどの会社で配当は行っていません。

上場企業であれば、経営者と株主が別の人であるため、
経営者には給与、株主には配当という棲み分けができます。

しかし、中小企業であれば、経営者(社長)=株主というケースがほとんどであるため、
社長は、給与ももらうことができますし、配当ももらうこともできます。

ただし、配当の場合には税金が高くなる傾向にあります。

配当する側(会社)のデメリット

配当を行う上でのデメリットは、株主への配当金は経費にならないことです。
配当は法人税を払った後の、残ったお金で行う必要があります。
一方で、給与でもらう場合には、当然ながら経費にすることができます。

会社の利益が800万円(社長の給与がなかったとして)であった場合に、

給与800万円とすれば、給与は経費になるので、
利益0円、法人税約0円(実際には均等割がかかりますが)。
社長は、給与として800万円をもらうことができます。

給与0にして残りを配当としてもらうことにすれば、
利益800万円、法人税は約200万円。
配当金でもらう場合、残りの600万円しかもらうことができません。

中小企業のように経営者=株主である場合には、給与でもらった方が有利になります。

また配当を行うには、
株主総会の決議をする→配当金を渡す(ただし源泉所得税20.42%天引きする必要あり)→源泉所得税を納付する→支払調書を税務署へ提出
と、非常に手間がかかります。

そのため、配当を行わずに給与として受け取ることが一般的です。

配当をもらう側(社長)のデメリット

配当をもらった場合には、税金がかかります。
当然ながら、経費もないのでもらった金額に対してかかります。
配当控除という、税金が安くなる制度はありますが、税率が高くなるにつれて、不利になります。

配当をもらったことで、確定申告も必要になります。
10万円/年であれば、確定申告しなくてもいいことにはなっていますが、住民税は申告が必要になってしまいます。

給与でもらった場合にも、当然ながら税金はかかりますが、給与所得控除という概算の経費を引くことができるので、こちらの方が有利になることの方が多いです。
確定申告といった手間もなく、年末調整で完結します。

給与収入は税金上恵まれている

まとめてみると、給与でも配当でももらうことができる中小企業の社長はであれば、
現行通りあえて配当をせずに、給与でもらった方が、税金も安くなり、手間がかからず、非常にシンプルな方法であるといえます。