法人成りをおすすめしない場合

個人事業で始めてある程度利益が出るようになった場合に、「会社にしたらどうですか？」とよく聞かれます。

おすすめするケースもあれば、おすすめをしないケースもあります。

事業をするのは個人か法人か？　私が考える法人成りの目安

おすすめしないケースはどのような場合か、考えてみました。

お金の取扱いが苦手

法人成りをすると、事業に使っているお金とプライベートのお金を厳密に分ける必要があります。

個人の場合には、事業で使っているお金も自分のお金なので自由に使うことができます。

ところが会社の場合には、事業で使っているお金は、あくまで会社のものです。
それが、自分の会社であってもです。

個人と法人の間でお金を動かすには

・給料
・配当
・金銭の貸し借り

などといった理由が必要です。

個人のお金が足りなくなって、会社のお金をどんどん引き出してしまうと、いつの間にか会社からお金を借りていることになっており、いずれ会社に利息をつけて返さなくてはならなくなります。

会社からお金を借りるのはNG

そのため、ある程度の帳簿付けといった作業も必要になります。

お金の管理にあまり自信がないようであったら、やめておくのも一つの手です。

金銭的に余裕がない

法人成りをすれば利益にもよりますが、税金は少なくなる傾向にあります。一方で、法人成りすると社会保険の加入が必須となり、その保険料が税金の減少のメリットをなくしてしまいます。

そのため、個人事業の時点でまだできる節税策があるならば、そちらを選んだ方がいいです。

追加でできる節税策をとるほどお金に余裕がないのであれば、法人成りは避けておいた方がいいでしょう。

ほとんどのケースが、税金の減少額＜社会保険料の増加額となってしまい、個人の時よりお金の残りが少なくなります。

特に年金が、個人年金から厚生年金に変わると、20万円から143万円と大幅にアップします。

法人成りすると、同じことをやっていても自分自身がもらえるお金は減ります。

個人の場合には儲かったお金はすべて自分のお金にできますが、
法人の場合には、ご自身にもらうことができるお金は給料でもらえるお金だけです。
そこで会社にお金が余ったとしても、それは会社のものです。

それで生活費が足りないからと、会社からお金を引き出すことはできませんので。

節税以外の理由がない

会社を設立するのには費用がかかりますし、設立した後も個人の時に比べてお金がかかります。

せっかく会社を作るのであれば、「これを機に仕事を拡大していきたい」「社長になってみたい」といった精神的な理由もあったほうが、いいです。

逆に「今がピーク」「目先の節税だけ」「なんとなく」ならばやめておきましょう。
思ったほど効果がないと感じるケースの方が多いです。
税金の減少＜社会保険料の増加、自由にお金が使えないなどとイヤなことも増えますので。

せっかく会社を作るのですから、前向きに楽しく経営していきましょう。

＜大事なこと＞
私が法人成りについて相談された場合には、
法人成りのデメリットを説明する→数字で示すといったことをしたうえで考えてもらっています。
お金のコトを理解していただいたうえで、それ以外の理由があるとお勧めはできると考えています。

<昨日の出来事>
午前中はお客様との打ち合わせを。
午後はランニングで茨城県方面へ15kmほど。意外と距離が短いと感じました（20kmはあると思っていたので）。