故人様が亡くなった前後で医療費の支払いがあるケースがほとんどです。
その際の医療費は、税金を計算するうえでどのように取り扱うのかまとめてみました。
準確定申告の医療費控除
故人様が亡くなった場合には、1月1日~亡くなった日までに確定申告をしなければいけないのであれば、亡くなった日から4カ月以内に故人様の分の確定申告を相続人の方がする必要があります。
その際に医療費控除を受けることが可能ですが、準確定申告では注意しなければならないことがあります。
医療費控除は医療費をご自身で支払ったものが対象になります。
これをふまえると、準確定申告の医療費控除を受けることができるのは、「1月1日~亡くなった日までに故人様が支払った医療費(同居の家族の分も含む)」のみが対象です。
亡くなった日以後にご自身で支払うことができませんので、故人様の生前の医療費であっても、亡くなった日より後に支払ったものは準確定申告で医療費控除を受けることはできません。
ちなみに、準確定申告は必ずしなければいけないと思っている方もいますが、確定申告の条件に当てはまらないようでしたら、準確定申告は必要ありません(やらなくてもいいけど、やった方がいいケースも存在します)。
故人様が毎年確定申告をしている場合や、亡くなった年に特別な収入があった場合のみ(不動産を売った、保険を解約したなど)が対象になるケースがほとんどです。
相続税の債務控除
ところで、故人様の生前の医療費を亡くなった後に支払うケースも存在しますが、この場合には故人様の準確定申告での医療費控除を受けることができません。
その代わりに、相続税の申告が必要である場合には「債務控除」として、相続財産から差し引くことができます。
最後の医療費の支払いは高額になるケースが多いので、この債務控除を利用することで相続税の負担を少なくすることができます。
相続税の申告が必要であるならば、必ず債務控除を利用しましょう。
その後の確定申告の医療費控除
この債務控除を受けた医療費については、その負担した方の医療費控除として受けることが可能になる場合があります。
たとえば、父(相続開始前20万円、相続開始後15万円)、母、子の3人で同居しているケースを考えてみます。
父の準確定申告で可能な医療費控除は、相続開始前の20万円です。
相続開始後に支払った医療費は父の準確定申告での医療費控除は対象外ですが、相続税の申告が必要な場合、15万円の債務控除を受けることが可能です。
これを仮に子が15万円を負担して債務控除を受けた場合には、その医療費を負担した子はその後の子の確定申告において医療費控除を受けることができます。
また、父の準確定申告で医療費控除を受けずに、子の確定申告において父の医療費全体の35万円を受けるという選択も可能です。
もちろん、このケースは子が父と同居しているのでこのようなことが可能ですが、別居していて生計も別の場合には相続税での債務控除は可能ですが、父の分での医療費控除は受けられないので気をつけましょう。
<大事なこと>
準確定申告での医療費控除と相続税での医療費での債務控除は、両方受けることも可能ですが、全くの別のルールなので、条件には気をつけましょう。
<昨日の出来事>
午前中は、ブログとお客様の法人決算を新しい税務ソフトを試しながら。
午後にランニング12km、その読書しました。
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