贈与税の延納制度を検討する前に、贈与のコストの検討が先

以前に相続税の延納制度について取り上げましたが、この延納制度は贈与税にも存在します。

相続税の延納制度とは

ただし、相続税の延納に比べると条件はきびしいです。


(調べてから先に進みましょう)

贈与税の延納制度

贈与税の納税は、現金での一括納税が原則です。

ただし、現金一括納付がきびしい場合に限って、申請して認められれば、分割して支払うことができます。

延納をしたい場合にはこのような条件を満たすことが必要です。

・贈与税が10万円以上
・延納制度をしたい旨の申請をする
・納期限(3/15)に現金で納付できない
・担保を提供する(延納期間3年以下&延納するのが100万円以下の場合には不要)

ただし、相続税とは違い延納できるのは最大5年です(相続税は財産によっては最大20年まで可能)。

そして、利子税(利息)も相続税に比べても高めです。

贈与税の延納がきびしいのはなぜか

贈与税の延納は、相続税の延納に比べてルールや条件が厳しいです。

これはなぜかと考えれば、相続税は人が亡くなった時に故人様が持っていたすべての財産が移転するので、コントロールはできません。

これに対して、贈与税はあげる側・もらう側の双方が、自分の意志で行うことができます。つまり、いくらでもコントロールが可能です。

つまり、贈与税自体もコントロールできてしまいます。贈与税が払えないから贈与しないと考えることもできます。

そのため、コントロールできない相続税に比べると条件は悪くなっているのです。税務署側からすれば、贈与税払えないのになんで贈与したのというスタンスです。

延納制度の利用の前に、贈与はコントロールが可能なので、あらかじめ贈与税がどれくらいかかるかを計算しておきましょう。

それを踏まえて、贈与を実行しましょう(するかどうかもふまえて)。

不動産の贈与は別のコストも

ところで、贈与した財産が不動産である場合には、コストは贈与税だけではありません。

不動産取得税や登記をするときの登録免許税です。このコストは相続の時に比べても割高になります。

不動産取得税は、固定資産税評価額の3%ほどかかります。申告は必要ありませんが、贈与を実行した後の忘れたころに通知が届きます。不動産取得税は、相続でもらった場合にはかかりませんが、贈与でもらった場合にはかかります。

そして、不動産を贈与すると登記をしますが、この時に支払う登録免許税も上がります。
相続の場合には、固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与の場合には2%とこちらも増えます。

不動産の贈与の場合には、こういったコストもかかります。必ず計算して、支払えるようだったら実行しましょう。「こんなはずじゃなかった」とならないためにも。

<大事なこと>
贈与税の延納制度はありますが、あげるタイミングや時期をコントロールできるため、条件はよくありません。どういったコストがかかるかをあらかじめ計算したうえで、贈与を検討しましょう。無理に贈与しないというのも一つの考えです。

<昨日の出来事>
終日税理士会の無料相談会へ。医療費控除の紙が郵送されなくなったようで、困惑されている方が非常に多かったように感じました。


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