相続税の申告をするときに、想像以上に時間がかかるのが預金調査だったりします。
亡くなった日の残高を集計してOKというわけにはいかないのです。
預金の履歴を調べる理由について、まとめてみました。
どのような生活をしていたか把握するため
通帳を見れば、生活に必要な入出金がどの程度あったかを想定できます。
入金をみれば、どれくらいの収入があったかを確認できます。
年金はどれくらいもらっていたのだろうかとか、給与があったりとか。
不動産屋さんからの入金が定期的にあれば、不動産収入があるのだなあと確認できます。
出金についても、どの程度の生活をしていたかの確認もできます。月の生活費はどれくらいかかっていたのかなど。
ただし、おおまかな状況を確認するだけなので1円単位で合わせるようなことはありません。
「3年前にコンビニでおろした10,000円どうなりました?」
「この月の電気代高いですね」
みたいなことは、いっさいありません。
あくまで、おおまかに確認するだけ。
そして、ここで問題になることはあまりありません。
他の財産がないか確認するため
預金通帳からどのような財産があるかを把握することができます。
固定資産税を払っていれば、不動産を所有していることがわかります。
保険料を払っていれば、何らかの保険金があるかもしれません。
自分への振込があれば、他の預金通帳があることがわかります。
あとは、大きな出金があった場合、他の財産に変わっていないかどうかも確認します。
車、株、不動産、保険など…
おろしただけで、自宅に残っている可能性も考えます。
ところで、大きな出金とはどれくらいなのか?
10万円、20万円くらいでは、特段気になることはないでしょう。生活費かなと。
それが、50万円となれば…、人によるでしょうね。
ここで一番初めに、どのような生活をしているかどうかが、かかわってきます。
あとは頻度にもよるでしょうね。
50万円の出金であっても、2カ月に一度くらいであれば、生活費かなとも想定できますし、
10万円、20万円くらいの出金でも、1週間に1回くらいの引出しがあれば、生活費ではないかな、とも考えられます。
そして、500万円となれば、相応の使い道を確認したいところです。
「生活費です」とは、考えづらいですよね…
過去に贈与がなかったかを確認するため
相続税の申告の際には、必ず過去に贈与があったかどうかを確認されます。
贈与税の税務調査ってほぼありません。私も、聞いたことがありません。
親子間で、いつの間にかお金を動かした場合に、税務署も本気になって調べれば、わかるのでしょうが、それを把握するのは気が遠くなる作業なので、通常はありません。
そもそも、贈与税って、相続税を意図的に減らすことを防止することを目的として、設けられています。相続税と贈与税は、一体でチェックされます。
過去に贈与があったかどうかに加え、贈与税の申告が必要であった場合に、きちんと申告しているかどうかもチェックされます。
過去の贈与は3年間さかのぼって、相続でもらったことになるルールがありますが、そのこととは別です。
贈与税の時効が6年なので、そこまでさかのぼって、適切に申告されているかどうか確認します。
もし、申告していなかったらどうするか?
申告期限を過ぎても、きちんと申告すれば受け付けてくれます。
通常の税金+多少の利息は払うことになりますが、それで終わりです。
必要以上に、怖がる必要はありません。
預金の履歴の調査は、手間も時間もかかります。
ただし、申告期限まで時間がなかった場合には、預金の履歴の調査ができず、税務調査の確率は高まることが予想されます。相続税の税務調査は、預金の調査で指摘されることが多いです。
専門家に依頼する場合でも、時間に余裕を持っておきましょう。
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